なぜ? 10歳児童に「過失100%」判決! 信号無視でクルマに衝突事故で。 「子どもだからといって無責任ではない」声も!? 何があったのか
クルマを運転中に自転車が一時停止を無視して飛び出してきて、危うくぶつかりそうになったという経験を持つドライバーは少なくありません。そうした中で先日、事故の修理費用をめぐる訴訟で「自転車側に100%」の責任を認める判決が下されました。
SNS上では「子どもだからといって無責任ではない」の声も
自転車とクルマの事故においては一般的にクルマ側の過失が大きくなる傾向にあります。
そうした中で先日、事故の修理費用をめぐる訴訟で「自転車側に100%」の責任を認める判決が下されました。
では、なぜそのような判決が出たのでしょうか。
クルマを運転中に自転車が一時停止を無視して飛び出してきて、危うくぶつかりそうになったという経験を持つドライバーは少なくありません。
警察庁の統計によると、交通事故の件数自体は年々減少傾向にある一方で、全交通事故に占める自転車関連事故の割合は2017年以降増加傾向にあり、2023年中は7万2339件(全体の23.5%)発生しています。
さらに2019年から2023年までの死亡・重傷事故件数の合計では「自転車×自動車」の事故が全体の75.5%を占めたほか、事故類型別では交差点などで衝突する「出会い頭」の事故が54.9%と最も多くなっています。
仮に自転車とクルマの事故が発生した場合、たとえ自転車側に「一時停止無視」や「信号無視」などの交通違反があっても、クルマ側が自転車の飛び出しを想定しなければならないという理由から、クルマ側の過失はゼロにならないことが一般的です。
そのため、自動車ユーザーからはこれまで「納得がいかない」との声もたびたび寄せられていました。
しかし最近、大阪簡裁でおこなわれた自転車とクルマの事故に関する訴訟において、自転車側に100%の過失を認める判決が下されました。
この事故は兵庫県西宮市の交差点において、当時10歳の児童が運転する自転車と男性が運転するクルマが出会い頭に衝突したものです。
事故発生当時、児童側の信号は「赤」、クルマ側の信号は「青」であり、クルマが徐行しながらゆっくりと交差点に進入したところ、左側から信号無視をした児童の自転車が飛び出してきてクルマとぶつかりました。
クルマはほぼ停止状態だったため、幸いにも児童にケガはありませんでした。
その後、クルマの運転手が児童側に修理費用を求めて訴訟を起こした結果、大阪簡裁は次の3点を理由に、「児童側の過失が100%である」との判決を下しました。
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1.クルマは交差点の手前で速度を落とし、徐行していた。
2.ドライブレコーダーの映像から、自転車が歩道を徐行せずに走行していたこと、また児童が信号を確認していなかったことが判明した。
3.現場は交差点付近に民家の塀があるなど見通しが悪く、自転車が赤信号を無視して飛び出してくることをクルマ側は予見できなかった。
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クルマの運転手はゆっくりと徐行して交差点に進入するなど運転に注意を払っており、これ以上事故を回避する方法はなかったことが認められたといえるでしょう。
児童側はこの判決を不服として控訴しましたが、続いて大阪地裁でおこなわれた控訴審でも児童側に100%の過失が認定されました。現在、児童側は上告しています。
この判決に対してSNS上では「これはいいニュース。自転車も危険な乗り物という認識が必要」「子どもだからといって自転車が無責任なわけがない」「児童側が上告していることに驚き」など、さまざまな反響が寄せられました。
加えて、「ドラレコで証拠が残ってなければクルマの過失になってそう」「マジでドラレコ必須だな」など、ドライブレコーダーを装着する重要性について指摘する意見も聞かれました。
また2024年11月1日からは道路交通法の改正により、自転車運転中の「ながらスマホ」や「酒気帯び運転」などに対する罰則が新設されています。
特に運転中のスマートフォン操作をしている人は少なくありませんが、この違反で検挙されると「6か月以下の懲役または10万円以下の罰金」、事故を起こすなど交通の危険を生じさせた場合は「1年以下の懲役または30万円以下の罰金」と比較的重い罰則が設けられています。
今後も自転車の交通違反に対する取り締まりは厳しくなることが予想され、それぞれの自転車ユーザーが交通ルール・マナーを守って運転することが強く求められます。
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今回の判決のように、自転車であっても事故の状況によっては大きな過失が認められ、賠償金の支払いを命じられる可能性は十分にあります。
子どもがいる家庭においては、自転車が原則として車道の左側を走ることや道路標識を守ることなど、改めて自転車の交通ルールを確認しておくと良いかもしれません。
至極妥当な判決である。自転車は法規上系車両であり、道交法の規制を受ける。
子供だから、送迎時だから法を守らなくていいということではない。
今回の大阪簡裁の判決は当然の判決であり、同様な事案があればもっと前に同様な判決が出ているべき凡例である。
近年は電動アシスト自転車が普及し、速度が速い事や重量も重いことから、大変危ない目に逢っている。
出来るだけ早期に自転車搭乗者の資格化、それが出来ないならばせめても電動自転車販売業者には説明並びにパンフレット交付を義務付けて頂きたい。