FIA世界ラリー選手権（WRC）最終戦「ラリージャパン 2024」が2024年11月21日、開幕しました。なかでも注目の存在はやはりトヨタによるトップカテゴリのチームである、「TOYOTA GAZOO Racing ワールドラリーチーム（以下TGR）」活躍です。
　
　シーズン最後を締めくくる大会でかつ、トヨタの本拠地である愛知県・岐阜県での開催ですが、見どころはどういったものがあるのでしょうか。

　クルマを使ったモータースポーツのうち、ラリーは三大競技に数えられる人気の自動車競技です。

　市販車をベースにしたマシンで、閉鎖された公道や特設コースを1台ずつ走行し、ドライバーと道案内役のコ・ドライバーでペアを組み、各区間のタイムを競います。

　4日間の開催日程では一般公道だけでなく、未舗装路や泥道、水たまりなどもコース（SS・スペシャルステージ）となっており極めて過酷です。総工程は1000kmに及ぶこともあり、「完走できれば奇跡」であるとも言われています。

　さらにSS間の移動はルールを守って一般道を走行する点も特徴で、町並みに溶け揉むラリーマシンの姿を見られることも魅力です。

　その世界選手権であるWRCの日本戦「ラリージャパン」シリーズは、愛知県・岐阜県での開催は通算3回目となりました。

　2024年大会も愛知県豊田市の「豊田スタジアム」を中心に21本のSS、1024.34kmを走破します。

　TGRでは2023年、エルフィン・エバンス選手が優勝。セバスチャン・オジエ選手が総合2位、カッレ・ロバンペラ選手が総合3位を獲得し、表彰台を席巻。

　さらに地元・愛知県出身の勝田貴元選手もベストタイムを叩き出すなど、好成績を残し、大いに盛り上がりました。

　さて、TGRは今シーズン通算12戦のうち、7勝を勝利しており非常に好調です。現在のところ15ポイント差によってマニュファクチャラー（自動車メーカー本体）として2位につけており、ラリージャパン2024で巻き返しを図って4年連続のマニュファクチャラータイトルを獲得したいところです。

　そんな期待の大会であるラリージャパン2024、その見どころは競技本体はもちろん、イベントを通して魅力があるといいます。トヨタGRカンパニー プレジデント 高橋 智也氏は以下のように語ります。

「ラリージャパンはこの年間の最終戦で、この紅葉の時期ということで、四季がはっきりしている日本を世界にお伝えし、見ていただける絶好の機会だと思います。（そうした風景も含めて）海外の方からも色々見ていただきたいという風に思っています」

　大会の舞台も2023年に続き愛知県と岐阜県にまたがります。

「豊田スタジアムSSS1」や「岡崎SSS」ではそれぞれスタジアムと公園内に特設スーパーSSが設けられていますが、それ以外のSSは基本的に市街地を走行します。そして今のシーズンは紅葉シーズンの真っ盛りです。

　彩り鮮やかな景色のなかを、超ハイスピードで爆音を轟かせながらマシンが駆け抜ける様子はまさに日本独自のものと言えます。

　特に例年、「三河湖SS」では神社の前を走行するものとなっているほか、紅葉に囲まれた旧いトンネルを通る「伊勢神SS」は海外でもたびたび紹介されています。

　また、その注目ぶりは国内でも全国に広がっています。デイ1の初日は木曜日にも関わらず、会場周辺は大混雑で豊田スタジアム内の熱気は凄まじいものとなっています。

「日本の中でも、僕もびっくりしたんですが、北海道から来るとか、沖縄から来られてる方もいるとか、日本全国からも（応援に）駆けつけていただいているので、『TGRファミリー』『チームジャパン』として、皆さんと一緒に戦いたいなと思います。

　ラリーの魅力を伝えるという意味では、僕らだけじゃなくて、他のエントラントの皆様とも一緒に盛り上げていければ良いんじゃないかなと思います」（前出・高橋氏）

　国内チームとしてホームでの活躍に対する思いが強いだけでなく、全国からの観戦者の期待も高まり、早速大いに盛り上がりを見せています。

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　なおデイ1（21日）には、前述の「豊田スタジアムSSS1」が行われました。光と音の演出のなかで、交差する立体コースを爆走するラリーマシンには圧巻です。

　なかでも地元愛知県出身のTGR・勝田貴元選手が現在ドライバーズランキングTOP1のHyundai・ティエリー・ヌービル選手と対決し、見事勝利を収めています。