全長5m級! 三菱の「最上級セダン」!? 斬新「ジェットファイターグリル」×めちゃ“和モダン”デザイン採用! 「ランエボ技術」も搭載の「ZT」とは何だったのか
かつて三菱を代表するセダンだった「ディアマンテ」には、その後継と目されたフラッグシップセダンのコンセプトカー「コンセプト-ZT」が存在しました。どのようなクルマだったのでしょうか。
「ディアマンテ後継モデル」になるはずが…
2016年に日産・ルノーアライアンスの傘下に入った三菱。最近では「アウトランダーPHEV」「トライトン」「デリカミニ」など、注目すべき新型車を数多く輩出しています。
しかし近年では、三菱の個性を生かしたミニバン・SUVを主要商品とするメーカーになっているため、かつて三菱を支えた「ギャラン」や「ランサー」、「ディアマンテ」などのセダンは、すっかり姿を消してしまいました。
しかし、2000年代はまだ、三菱もセダンの可能性に賭けていたことがあったのです。それを示すのが、2007年の東京モーターショーに出展されたコンセプトカー「コンセプト-ZT」。Zは「究極」、Tは「ツアラー」から命名されています。
コンセプト-ZTは、全長4950mm、全幅1820mm、全高1440mmという体躯の大型セダン。
当時の三菱では、最上級フラッグシップセダン ディアマンテの国内向け販売を2005年に終了していたため、同車よりもひと回り大きなコンセプト-ZTは、ディアマンテの後継なのではないかと噂されていました。
厚めのサイドシルを持つマッシブなボディの上には、美しいカーブを描くキャビンを載せており、力強さと繊細な美を感じさせる仕上がりに。デザインテーマは「和の感性」で、デザインはすべて三菱の東京デザインチームが行ったといいます。
流麗なフォルムでありながら、落ち着きとどっしり感を生み出しているのは、面を立たせたフロントマスクの造形。
当時の三菱車で統一されていたフロントデザイン「ジェットファイター」グリルを採用したマスク、ボディサイドに走るキャラクターライン、サイドウィンドウのグラフィックには、同年8月に発売された「ギャランフォルティス」と近いイメージ処理がされており、今後の三菱のデザインが進む方向性もうかがえました。
今見ても薄いドアミラーなどを変更すればこのまま市販化できるのでは、と感じさせるほどに、高い完成度を誇っています。
「おもてなし」を追求したという内装には、助手席側の正面まで全面的に液晶画面を採用。
傾斜したダッシュボードのセンターと、それに連なるように持ち上がったセンターコンソール、そしてステアリングホイールに各種操作スイッチが配置されており、こちらも少し手を入れれば市販車になるのでは、というデザインが与えられています。
といいつつも、コンセプト-ZTはメーカーの考え方や技術力をアピールするコンセプトカーですので、その中身はまさに三菱の技術の集大成です。
ボディはアルミ押し出し材とアルミダイキャスト材を組み合わせたアルミスペースフレーム構造を採用して剛性の高さと軽量化、衝突安全性を両立。
ボンネットやフェンダー、ドア・トランクリッドなどの外板は樹脂製として、耐衝撃性・リサイクル性、さらには将来的な鉄資源不足にも配慮が行われていました。
安全装備も充実しており、プリクラッシュセーフティシステム、レーン逸脱警報システム、マルチアラウンドモニターなどを備えています。
エンジンはピエゾ式インジェクターによるコモンレール式の2.2リッタークリーンディーゼルターボで、最高出力188ps、最大トルク41.0kgmをマーク。「ランサーエボリューションX」にも搭載の2ペダルツインクラッチ式トランスミッション「Twin Clutch SST」と組み合わせていました。
駆動方式も三菱らしく、「デリカD:5」や「アウトランダー」と同じ電子制御4WD。「S-AWC」を採用していました。
このように、コンセプト-ZTはコンセプトカーとしては現実的なデザインと設計で作られていました。
しかし残念ながら、コンセプト-ZTの市販化はされませんでした。
その後、2024年現在に至るまで、三菱は大型セダンの販売を行っていません。セダン自体も、2015年にギャランフォルティス、2016年にはそれをベースにしたランサーエボリューションXも販売を終了しています。
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セダン市場が小さく、三菱自体がミニバン・SUVに特化していることを考えると、ディアマンテクラスのセダンが復活するのはとても難しいです。
しかし、いまヒット作を生み出し元気になった三菱には、コンセプト-ZTで見せたような「セダンの未来像」や、それの市販化、さらにランサーエボリューションの復活を期待せずにはいられません。
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