車中泊、有料だけど電源アリ、使う? 九州で実証実験開始 道具貸出しで手ぶらも可
九州7か所の道の駅駐車場などで、有料の車中泊スペースを提供する実証実験が、国の事業として始まりました。一部では、その場で使うテントや調理器具の貸し出しサービスも提供するといいます。
施設の稼働時間外に土地を有効活用
熊本県と長崎県の「道の駅」や観光施設などの駐車場7か所で、「車泊(くるまはく)」と呼ばれるサービスの実証実験が2017年11月1日(水)から始まりました。対象の施設に車中泊用の駐車スペースを設け、時間を区切って有料で貸し出すというものです。
これは、コインパーキング大手のトラストパーク(福岡市博多区)などからなる「九州周遊観光活性化コンソーシアム」が、総務省「IoTサービス創出支援事業」の一貫として行うものです。概要をトラストパークに聞きました。
――どのようなサービスなのでしょうか?
車中泊ができる駐車場を整備し、一般の方に提供するものです。対象の駐車場には、外部電源を確保するための給電設備などが設置されています。
利用には事前予約が必要で、駐車スペースのシェアサービスを提供するウェブサイト「軒先パーキング」を通じて行います。予約するとQRコードが発行されますので、それを現地で所定の位置にかざすことで、給電設備が使えるようになるという仕組みです。料金は、1泊およそ3000円から5000円ほど(場所、曜日により異なる)に設定しています。
――実験の背景には、どのようなことがあるのでしょうか?
ひとつには、キャンピングカーによるオートキャンプをはじめとする「クルマを使ったライフスタイル」の市場が伸びていることがあります。とりわけ九州では、2016年の熊本地震後に多くの人が何日もの車中泊を余儀なくされ、転々としていたという記憶があるほか、たとえば長崎県では、移住促進事業の一環としてキャンピングカーを貸し出し県内を回ってもらい、移住先探しに役立ててもらうといったことも行っています。こうした動きを受け、車中泊を観光振興に活かす目的で今回の実験を行うこととなりました。
この事業は、利用時間帯をたとえば15時から翌朝9時までとするなど、施設の稼働時間外に土地を有効活用する形で行っています。自治体からは、「(夜間などに)使っていない土地を活用できる」といった声があるほか、「温泉や銭湯など、近隣の観光施設にも足を運んでもらえる」といった波及効果も期待されています。
――なぜ国の事業として行うのでしょうか?
総務省としては、IoT(モノのインターネット)を使った新しいサービスや、シェアリングサービスを増やしたいという思惑があります。そのなかで今回、本事業は「IoTサービス創出支援事業」の「シェアリングエコノミー型九州周遊観光サービスモデル事業」として採択されました。