新たな「5ドア“スポーティ”SUV」登場! 迫力の専用リアウイング&「上質インテリア」に驚愕! コンパクトサイズが丁度良いヒョンデ「コナ Nライン」を早速試乗!

「日本人向けセッティング」に驚き

 それにしても、コナの走りは乗るたびに「しっかり作りこまれているな」と思います。

 まず褒めたくなるのは乗り心地。一般的に重くて重心も高いEVのSUVは、段差を超えた際や、路面状態が悪い場所を走るときなどの突き上げ感が目立ちがち。

 しかしながらコナの乗り心地はフラットライド感が強く、ドライバーはもちろん同乗者も快適です。

元々の高い快適性はそのままに「N」のワンポイントが付与された
元々の高い快適性はそのままに「N」のワンポイントが付与された

 それでいて、ハンドリングはしっかりと奥深く、ハンドル操作に応じてクルマが気持ちよく向きを変えるし、旋回中のロールの安定感も良好。

 パワートレインに関していえば、欧州のハイパワー系EVにありがちなアクセルを踏み込んだ時に「ドカン!」と勢いよく前へ押し出されるのではなく、パワーの立ち上がり方が滑らかで、ジワジワと伸びていくためコントロールしやすく、自然な加速特性なのも好印象です。このあたりは、日本車のEVに近い印象を受けます。

 ちなみに走行モードごとの加速特性も日本専用にチューニング。

 日本人の運転スタイルを反映し、「ノーマル」はアクセル操作による反応を緩やかに、いっぽう「スポーツ」では本国仕様よりも力強く加速が立ち上がるよう制御の変化にメリハリをつけているのも面白い“日本仕様化”です。

 こういうのは他メーカーではちょっと聞いたことがありませんが、ヒョンデはそこまで日本仕様の作り込みにこだわっている一例と言えるでしょう。

 そんなN Lineですが、どうして“N”かといえば、WRCマシンを頂点とするヒョンデのスポーツモデルのブランドが「N」だから。

 Nの頂点として、少し前に日本でも発売された「IONIQ 5 N」のようなサーキット前提のモデルがあり、その下の“ちょいスポーティ”的なポジションとして「N Line」が用意されているわけです。

 快適性を犠牲にすることなくNのフレーバーを加えた仕様と考えればいいでしょう。

 それはメルセデス・ベンツの「AMG」に対する「AMG Line」であり、BMWの「M」に対する「M Sport」、アウディの「RS」に対する「S Line」と同じ感覚と捉えればいいでしょう。トヨタでいえば「GR」における「GR Sport」です。

 ただちょっと気になるのは、今回デビューしたコナN Lineは、内外装のスポーティ化だけであり、ボディ補強やサスペンションといった走りの部分には手が入っていないこと。

 上で紹介した他社の例でいえば、例外なくサスペンションもスポーティなタイプへと変更しているので、その違いが気になるところです。

 そこでヒョンデの担当者に尋ねてみたところ、理由は「走りは手を加える必要がないと判断したから」とのこと。

「本国などでは多くの車種にN Lineがあり、なかにはボディ補強やサスペンション、さらにパワーステアリングの制御などに手を入れているモデルもあります。

 そして多くがガソリン車です。しかしEVは補強しなくてもボディがしっかりしているし、コナはサスペンションも能力が高いので、今回は手を入れませんでした」(同担当者)

 たしかに実際に走ればその言葉にも納得できます。

 とはいえ、「記号性」としてローダウンサスペンションが組んであればもっと特別感と魅力が増すのではないか…と筆者は考えます。いかがでしょうか。

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Writer: 工藤貴宏

1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに寄稿している。執筆で心掛けているのは「そのクルマは誰を幸せにするのか?」だ。現在の愛車はマツダ CX-60/ホンダ S660。

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