ホンダ新型「コンパクトミニバン」登場! 新旧モデル乗り比べで分かった「4WDの進化」とは? 新型「フリード」雪上試乗してみた!

新旧比較で感じた「曲がり」の進化

 新型フリードの前に、従来型の4WDを確認します。

雪上試乗会では従来型のホンダ「フリード ハイブリッド クロスター」も用意された
雪上試乗会では従来型のホンダ「フリード ハイブリッド クロスター」も用意された

 もちろんFFよりは安心して走れますが、アンダーかと思ったらオーバーと挙動変化が大きく、VSAは常にピカピカ点灯。

 更に1モーターのスポーツハイブリッドi-DCDはアクセルを踏んでからのラグが大きい事もあり、駆動で曲がるのも難しく、他社のように「4WDで良かったね」と言う安心は感じられませんでした。

 続いて新型に乗り換えます。

 ちなみにFFモデルに対してリアルタイム4WDモデルの車高は15mmアップで、最低地上高は150mm。

 「日常+α」の使い方であれば十分なクリアランスでしょう。

 ノーマルモデルの「エアー」だとタイヤとフェンダーの隙間が気になりますが、アウトドアテイストがプラスされた「クロスター」は、むしろデザインのバランスは良いと感じました。

 同じコースを同じ速度、同じ操作を心がけて走らせてみて感じたのは、「スタッドレスタイヤ替えた?」と思うくらいグリップを感じる事、そして常に安定方向にクルマを導いてくれる事です。

 この辺りはフィードフォワード制御で駆動力配分をより緻密にコントロールできている証拠と言えます。

 リアの駆動力アップで余裕ができたフロントのグリップ感は、「曲がれるかも」ではなく「曲がれる」と思える安心感を生みます。

 そして、そこからアクセルONでリアを僅かに巻き込みながら旋回していく様は、まさに「駆動で曲がる」を実感できます。

 この辺りは「リアルタイムに四輪を駆動」が活きています。

 加えて、高応答かつトルクフルなのにスムーズなフィーリングのe:HEVとのマッチングも良く、意のままのコントロールが「誰でも」「楽に」「安心して」できました。

 ちなみに他社のように四駆を声高らかに主張せず、あくまでも黒子のようにそっと背中を押す制御なので、「グイグイ曲がる」ではなく「自然に曲がる」イメージです。

 そういう意味ではドラマチックではありませんが、ミニバンのキャラクターを考えれば正しいと思います。

 ただ、リアの駆動トルクをもう少し上げられると、「フリード・アブソルート」は夢じゃないかもしれません。

 更に雪道での不安要素の1つである登坂路での発進も試してみました。

 従来モデルはアクセルONで左右に振られてしまったのに対して、新型は何事もなくスッと発進。

 この辺りはフィードフォワード制御で始めから後輪の駆動が掛かる事が強みになっています。

 また、雪道で走らせていて4WDと同じくらい驚いたのは、「視界の良さ」から来る安心感でした。

 新型フリードは最新ホンダデザインに則った水平基調でノイズレスなインパネ周りやガラスエリアの広さ、左右の資格の少なさ、そして目線の高さが効いています。

 普段より慎重になる雪道での走行でも、負担が減る、緊張感が減るので、結果的に安全運転になると言うわけです。

 そろそろ結論に行きましょう。

 かつては「ホンダの4WDは雪に弱い」と言われる事もありましたが、「新型フリード×リアルタイム4WD」の組み合わせは、その汚名を返上できるポテンシャルが備わっています。

 酷暑の中で冬の話をするのもアレですが、ウィンターシーズンの強い武器になるのは間違いないので、今から注目しておいてほしいです。

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Writer: 山本シンヤ

自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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1件のコメント

  1. 4WDの泣き所。1輪でも空転すると、亀の子状態になる。だからLSDとかデフロックが必要になって来る
    LSDもデフロックも生活4駆には備わっていないのが現状でしょう。もし、脱輪した場合、或いは泥濘に1輪だけ駆動力掛からないときの対処法は。フットブレ-キを軽く踏み、空転する車輪に架空の荷重を掛ける。慣れないとできないかもね

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