ホンダ新型「コンパクトミニバン」登場! 新旧モデル乗り比べで分かった「4WDの進化」とは? 新型「フリード」雪上試乗してみた!
2024年6月に発売されたホンダ新型「フリード」を、同年2月に開催された雪上試乗会で、ひと足お先に試乗しました。新旧モデルを乗り比べして感じた新型フリードの進化とは一体どこにあるのでしょうか。
新型フリードの注目は「4WD性能」
「ホンダ」と「4WD」は昔から設定はありましたが、「レジェンド」や「NSX」に採用された独立モーター式の「スポーツハイブリッドSH-AWD」以外は、「積雪地域向けにとりあえず用意しました」と言ったシステムで、特に積極的なアピールはしていませんでした。
しかし、2018年に登場した「CR-V」から方向転換を行ない、「ヴェゼル」、「ZR-V」などは4WDの存在を強くアピールしています。
なぜ、今なのか? それは電動化パワートレインである「e:HEV」との組み合わせにより、今まで以上に強力な武器になったからでしょう。
ここでは2024年6月28日発売されたばかりの新型フリードに搭載された、ホンダ“最新”の4WDについて紹介していきたいと思います。
筆者(山本シンヤ)は同年2月、北海道にあるホンダ鷹栖プルーピンググラウンドで一足お先に試乗してきました。
現在、ホンダが持つ4WDシステムは大きく2つあります。
1つは軽自動車や「フィット」に搭載されるビスカスカップリング式4WD、もう1つが「フリード」をはじめ上のクラスまでカバーするリアルタイムAWDです。
この2つの4WDシステムに共通するのは、プロペラシャフトを用いた“メカニカル”4WDである事です。
「電動化パワートレインなのに、なぜ?」と思う人もいるでしょう。
ちなみにライバルの多くはプロペラシャフトを持たず、独立したリアモーターを搭載した「電動4WD」が主流となっています。
実はホンダは仕方なくではなく、積極的にメカニカル4WDを選択しています。
その理由は単純明快で、e:HEVとリアタイヤをプロペラシャフトで直結すると、高出力なモーターの駆動力を常に4輪に最適配分できるからです。
加えて、電動4WDよりシンプルな構造にできるので、FFモデルとの重量差も最小限に抑えられると言う強みもあるのです。
ちなみに新型フリードに搭載されるリアルタイムAWDはシステム的には先代と同じ、動力伝達機構に電子制御多版クラッチを採用したアクティブトルクスプリット式で、前後の駆動力配分はクラッチの締結力でコントロールします。
ただし、従来モデルに対して後輪への駆動力を10%アップ。
要するに、フロントタイヤへの依存度を減らす事で、より「曲がる4WD」を目指したわけです。
加えて、この4WDをコントロールする頭脳を刷新。
従来モデルではフロントの滑りを検知してリアに駆動を伝える「フィードバック制御」でしたが、新型ではフロントが滑る前から予測を行いながらリアに駆動を伝える「フィードフォワード制御」になっています。
それに合わせて車両の状態をより詳しくセンシングすべく、従来のアクセル開度、車輪速、前後Gセンサーに加えて、ヨーレートセンサーとステアリング舵角センサーをプラス。
その結果、ネーミングの通り「リアルタイム」に理想の前後駆動配分を可能にしています。
更に内輪にブレーキを掛けヨー方向の動きを生み出し旋回をサポートするアジャイルハンドリングアシストやトラクションコントロールも統合制御し、車両挙動を総合的にコントロールしています。
4WDの泣き所。1輪でも空転すると、亀の子状態になる。だからLSDとかデフロックが必要になって来る
LSDもデフロックも生活4駆には備わっていないのが現状でしょう。もし、脱輪した場合、或いは泥濘に1輪だけ駆動力掛からないときの対処法は。フットブレ-キを軽く踏み、空転する車輪に架空の荷重を掛ける。慣れないとできないかもね