ダイハツの「4ドア“クーペ”」! まるで「小さな高級車」な“豪華内装”採用! 全長4.2mボディ×旧車デザインの「DNコンパーノ」どうなったのか

「東京モーターショー2017」のダイハツ工業ブースには、往年の名車「ダイハツ コンパーノ」の名を冠したコンセプトカー「DN COMPAGNO(ディーエヌ コンパーノ)」が出品されました。どのようなクルマだったのでしょうか。

「DN COMPAGNO(ディーエヌ コンパーノ)」衝撃の結末とは

「東京モーターショー2017」のダイハツ工業ブースには、往年の名車「ダイハツ コンパーノ」の名を冠したコンセプトカー「DN COMPAGNO(ディーエヌ コンパーノ)」が出品され、大きな反響が巻き起こりました。

こんなカッコイイ 「DNコンパーノ」はどうなった?
こんなカッコイイ 「DNコンパーノ」はどうなった?

 まずは、原点を簡単に紹介しましょう。

 1960年代に活躍したコンパクトカー「コンパーノ」は、ダイハツ工業が四輪車市場に参入すべく、送り出した初のモデルでした。

 意外にも1963年4月に投入された第一弾モデルは、商用バンである「コンパーノ ライトバン」で、これは当時の4輪車のニーズがビジネス中心だったことを反映したものでした。

 さらに同年6月に、初の乗用車となるステーションワゴン「コンパーノワゴン」と、同年11月に2ドアセダン「コンパーノ ベルリーナ」を追加。

 その後もボディバリエーションが拡大され、オープンカーの「コンパーノ スパイダー」、ピックアップトラック「コンパーノ トラック」、「コンパーノ ベルリーナ」の4ドア仕様などが追加され、多彩なラインアップを誇りました。

 そして、基本デザインをイタリアのカロッツェリア「ヴィニャーレ」に依頼した洒落たデザインも売りだったのです。

 それから半世紀が経過した東京モーターショー2017では、ダイハツ工業が2017年3月に創立110周年を迎えたことを機に刷新したグループスローガン「Light you up ~らしく、ともに、軽やかに~」を出展テーマとしました。

 出展されたコンセプトカーは、少子高齢化や働き方の多様化など身近に様々な社会課題・環境変化がある中、顧客に最も近いブランドを目指すダイハツならではの視点から「軽やかに輝いた暮らし」を提案。

 具体的には、軽自動車を核にコンパクトカーまで展開してきた、ダイハツの良品廉価なモノづくりの技術・アイデアを発展進化させ、未来のラインナップを想起させる軽自動車の2台とコンパクトカーの3台を展示しました。

 全てのコンセプトカーには、「DN」の名が添えられていましたが、これはDAIHATSU NEWNESSの略で、新しいダイハツをアピールするものでした。

 そのコンセプトカーのひとつであるDN COMPAGNOは、シニアユーザーをターゲットに、スタイリッシュに使える4ドアクーペを提案したもの。

 一人や二人でのフロントシート中心とした使い勝手を重視しながらも、いざという時には、家族を乗せたり、普段の買い物での荷物を載せたりする活用を想定したといいます。

 内外装デザインは、元祖コンパーノのイメージを踏襲しており、外観上では、大型のフロントグリルやテールフィンなどの特徴が受け継がれています。

 またインテリアでは、オリジナルの航空機のコクピット感を残しつつ、先進さも追求されています。

 もちろん各部には現代的なアレンジが加えられており、例えばルーフラインは、当時のセダン的なボクシーなスタイルではなく、4ドアクーペらしい傾斜が強く、後方へと絞り込まれたルーフラインとなっています。

 内装では、アナログ風味のデジタルメーターやインフォメーションシステムが与えられています。また前席足元空間を広げるために、インパネシフトを採用していました。

 特徴的なオレンジのボディカラーは、ブースで飾られた1964年式のコンパーノ ベルリーナのオマージュであり、現代的な色味にアレンジしたものを採用しています。

 ちなみにオレンジのボディカラーはカタログモデルにはなく、当時ダイハツでデザイナーとして活躍していた元オーナーの特注色だったそう。現在も現ダイハツ工業の社員である息子さんが譲り受けて、大切に愛用されています。

 人生の中でクルマに憧れ、親しんできたシニア世代にとって、クルマのカッコよさは重要なポイント。そして彼らは取り回しの良さを重視して、愛車のダウンサイズを図っています。

 カッコ良くて扱いやすいクルマであるDN COMPAGNOは、シニアの夢が詰まった一台であるだけでなく、近年のレトロブームもあり、幅広い世代から注目され、市販化を望む声も多く聞かれました。

 かなり凝ったデザインでしたが、当時、公表されたスペックは、ボディサイズが、全長×全幅×全高=4200mm×1695mm×1430mmであることと、パワーユニットに1リッターターボエンジンと1.2リッターハイブリッドが想定されていることだけでした。

 自動車メディアを中心に大きく取り上げられたDN COMPAGNOでしたが、現在まで市販化の動きはありません。

 さらに残念なことに、コンセプトカー「DN COMPAGNO」は、保管場所の都合により廃棄されてしまったようです。

 まさに幻となったニューコンパーノ。しかし、小さく軽いクルマが環境面で有利なのは間違いなく、いつの日か最新のダイハツ技術を用いたお洒落4ドアクーペとして、復活してくれることを期待せずにはいられないのは、決して筆者だけではないでしょう。

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Writer: 大音安弘(自動車ライター)

1980年生まれ。埼玉県出身。クルマ好きが高じて、エンジニアから自動車雑誌編集者へ。その後、フリーランスになり、現在は自動車雑誌やウェブを中心に活動中。主な活動媒体に『ナビカーズ』『オートカーデジタル』『オープナーズ』『日経トレンディネット』など。歴代の愛車は全てMT車という大のMT好き。

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2件のコメント

  1. 決して高性能では無い、コンパクトなクーペ
    いわゆるセクレタリーカーを出して欲しいなあ

  2. 60年代70年代と世界的に有名なデザイナーが手掛けた日本車が多数ある。その中で今見ても古臭いより先に美しいと感じる車も存在するのだから、それを放っておく手はないと思うんですよね。ネオ・クラシック大好きです。

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