全長4.2m級のマツダ「”4人乗り”スポーツカー」!? 豪華ソファシート&“斬新”ハンドル採用! 画期的ユニット搭載の「リューガ」とは
マツダ車のデザインといえば現在、「魂動(こどう)デザイン」と呼ばれる統一イメージが貫かれていますが、“魂動”登場前夜に、同様のイメージを生み出そうとした動きがありました。どのようなコンセプトだったのでしょうか。
斬新“流麗デザイン”の正体とは
現在のマツダ車に共通して与えられている「魂動(こどう)デザイン」は、コンパクトカーから大型クロスオーバーSUVまで、ひと目でマツダのクルマであることが分かるものとなっており、マツダらしさを表現する重要な要素のひとつとなっています。
今では“マツダ=魂動デザイン”といっても過言ではないほど浸透していますが、その前に使われていたデザインフィロソフィーを覚えているでしょうか。
魂動デザインの前にマツダデザインの根底となるものとして存在していたのは「NAGARE(ながれ)デザイン」です。
2006年のロサンゼルスオートショーで発表されたコンセプトカー、その名も「NAGARE(流)」に端を発したもので、翌2007年に開催された北米国際自動車ショーで第2弾の「RYUGA(流雅)」へと続いています。
2010年に発売されたミニバン「プレマシー」(3代目)で、ようやく市販化モデルに結実しました。
今回はそんな“NAGAREデザイン”のコンセプトカー第2弾である流雅について振り返ってみたいと思います。
2007年1月にデトロイトで開催された北米国際自動車ショーで発表されたデザインコンセプトカーの流雅は、次世代の若いユーザーをターゲットにしたスポーティでコンパクトな4人乗りモデルです。
日本的な美しさを、優雅で繊細な表面処理やディテールのデザインで表現したものとされていました。
写真ではサイズ感が伝わりにくいかもしれませんが、全長は4280mmとコンパクトSUVの「CX-3」並みですが、全幅が1900mm、全高が1260mmとコンパクトかつワイド&ローなスタイルとなっています。
左右の大型ガルウィングドアが大きく開き、後部座席へのアクセスも容易となっている点も特徴です。
フロントシート中央には大型のフローティングコンソールが備わり、スポーツカーのようなパーソナルな空間が創造され、ステアリングもコンセプトカーらしく操縦かんのようなU字型のステアリングが特徴となっていました。
一方で、後部座席は往年の「ペルソナ」や「ユーノスコスモ」で採用されていたラウンジシートのような形状となっており、一転してリラックスできるような空間となっている部分も面白いところ。
そしてデザインコンセプトでありながら、搭載されるエンジンなども明らかとなっています。
2.5リッターの排気量を持ち、フレックス燃料(ガソリンとエタノールやメタノールなどの混合燃料で走行できるもの)で動くMZRエンジンと6速のオートマチックトランスミッションの組み合わせで前輪を駆動するとされていました。
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あくまでデザインコンセプトということもあって、流雅が市販されることはなく、NAGAREデザインをまとったとアナウンスされた市販車も3代目プレマシーのみとなっています。
マツダ全体の根幹となるNAGAREデザインという発想があったからこそ、その後の魂動デザインに続いたともいえ、その存在意義はあったと考えてもいいかもしれません。
Writer: 小鮒康一
1979年5月22日生まれ、群馬県出身。某大手自動車関連企業を退社後になりゆきでフリーランスライターに転向という異色の経歴の持ち主。中古車販売店に勤務していた経験も活かし、国産旧車を中心にマニアックな視点での記事を得意とする。現行車へのチェックも欠かさず活動中。
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