自動車メーカーの「認証不正」でも話題となった「JNCAP」って何? 実は「国の基準」と違う? 認証とJNCAPでズレも… 今後の課題とは

最近話題の「認証問題」とJNCAPは関係あるの?

 自動車アセスメントは、グローバルで国や地域によって実施されています。

 全体的に見れば同じ方向性を持った試験内容なのですが、それぞれの交通環境に応じて若干の独自性を持っているのが現実です。

 私見では、欧州のユーロNCAPが新しい試験を最初に採用する傾向があると思われ、JNCAPでは欧州での動きが影響しているものと認識しています。

自動車安全性能評価とは(資料引用:独立行政法人 自動車事故対策機構)
自動車安全性能評価とは(資料引用:独立行政法人 自動車事故対策機構)

 別の視点で最近、JNCAPが世間から注目されたのが、型式指定の申請に伴う「認証不正」問題ではないでしょうか。

 例えばトヨタの説明の中で、予防安全における認証試験で、JNCAPの試験を用いたことが結果的に「認証不正」とされた事案がありました。

 実質的に、自動車メーカーが大量生産する際に必然となる型式指定に対する認証と、自動車アセスメントの間にズレがあるということです。

 認証と自動車アセスメントは、それぞれの目的が違うため、こうしたズレが生じることは致し方ないかもしれません。

 だた、ユーザーから見れば、安全性の基準が統一されている方が分かりやすいとも言えるでしょう。

 この点は今後、自動車産業界全体と国が協議するべきです。

 そうとはいえ、認証は法律であり、その内容に沿った試験を行っていないということは大きな問題です。

 自動車メーカーにとって法令遵守は絶対です。

 ユーザーが自動車メーカーに対する信頼を大きく損ねるような結果を招いている現実に対して、自動車メーカーは反省し、自社の努力として再発防止を徹底するべきだと思います。

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Writer: 桃田健史

ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
近著に「クルマをディーラーで買わなくなる日」(洋泉社)。

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