乗用車の「前列3人掛け」は消えるのか ベンチシートはタクシーでもレア化?(写真10枚)
2017年現在、東京都内で前列に3人掛けのベンチシートを備え、客を5人乗せられるセダン型のタクシーはあまり見られません。一般乗用車でとなるとさらにレアです。どのような現状になっているのでしょうか。
地方のタクシーでいまだに見られるワケ
セダンやコンパクトカーなど、一般的なタイプの乗用車は前列に運転席と助手席、後列には3人座れるシートを備えた5人乗りが主流です。東京都内ではセダンのタクシーもこのタイプが一般的で、客は4人まで乗ることができ、運転手含め5人乗りです。
しかし一部では、前列に3人乗ることができ、客が5人まで乗れるセダンのタクシーも存在します。全タク連(全国ハイヤー・タクシー連合会。東京都千代田区)に話を聞きました。
――セダンのタクシーで客が5人まで乗れるものがありますが、ほかのタクシーとどうちがうのでしょうか?
前列の運転席と助手席がセパレートになっていない、いわゆるベンチシートのタクシーは、前列にお客様をふたり乗せることができます。東京でも以前はそのようなタクシーがありましたが、現在はセパレートの車両がほとんどです。ただ、東京でもゼロではなく、地方ではそちらのほうが主流のところもあります。
――なぜ都内では数が少ないのでしょうか?
東京ではお客様がおひとりで利用する場合が多いうえ、ゆったりとした高級感のある車両が求められるため、お客様によっては窮屈にも思えるベンチシートの需要が少ないのでしょう。また、タクシー車両は走行距離に応じて入れ替えていきますが、東京ではそれが4、5年なのに対し、地方では8~10年とサイクルがちがいますので、ベンチシートの車両が比較的多く残っているというのが実情ではないでしょうか。
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全タク連によると、「ユーザーのニーズを受けて、タクシー車両のメーカーでもベンチシートの用意は少なくなってきているのではないか」と話します。
前列ベンチシート型の「セドリック」を製造していた日産によると、「単純にニーズがあまりない」ことから、現在は一般の乗用車、タクシーともに、前列3席人掛けシートを設定する同社のクルマはないそうです。ミニバンなど、多人数乗れるクルマの需要はあるものの、「あえて前に3人乗せなくても、3列シートなどで対応できる」といいます。