歩道によく店の看板が置いてありますが、実は違法だと聞きました。通報していいですか? どうして取り締まらないのですか?

でも街中で見かける…その理由は?

 地方自治体で道路管理に携わっていたOBは、「そもそも法律とは、社会の秩序を保つために作られるものだという背景があります」と話します。

「誰かが困ったり、苦しんでいる状況が起きていなければ、そもそも社会は法律を必要としないのです」(道路OB)

 道路OBによると、道路法第32条の一般的運用としては、明らかに交通を阻害して、著しい迷惑となっている場合、あるいは潜在的な危険があったり、社会問題を生みかねない物件があった際に、「言うことを聞かない持ち主に対して強く是正を求めるためのバックボーン」として用意されたものだといいます。

 それゆえ、一般的には道路法第32条を「完全徹底」することはなく、その立場によって現在の街の賑わいが保たれているといいます。

 もちろん、普段が平穏だからといって、大事故や社会問題が起きてしまってからでは手遅れです。そのため、道路管理者は基本的に毎日、管轄の道路をパトロールしています。そこで「これは危ないだろう」という案件があれば、迅速に持ち主に改善するよう要請するとしています。

 もし危険な立て看板を放置し、そこで事故が起きてケガ人が出たりすれば、「見逃していた行政にも責任がある」として、道路管理者に莫大な賠償責任が発生しかねません。それを防ぐため、道路管理者は決して立て看板類を放置しているわけではなく、きちんと危ないかどうかを見極めているのです。

 そして持ち主に改善要請した際に「うるさい。お前に指図される言われはない。他にも看板置いている店はあるだろう。それを全部無くしてから来い」などと言って指示に従おうとしない場合、いよいよ最後の手段が道路法102条の出番で、刑事告訴となるわけです。

 もちろん、法律は法律ですので、道路管理者の担当者が「法律徹底論者」だった場合、管轄の道路沿線からこうした立て看板類が「一掃」されることもあり得ます。

 しかし、そうだとしても「案件をすべて対応するのはかなりの負担であって、指導がなかなか徹底できていないのも実情」(別の道路OB)といいます。

 もっとも、あくまでそれを行うのは法に従って職務を行う道路管理者側のみです。私たち一般市民が勝手に「天誅」「法律の代執行人」として、街角の看板を蹴とばしたり、持ち主に危害や脅迫を加えることは許されていません。それらには別途、刑法や各種条例などによる罪に問われる可能性があります。

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Writer: くるまのニュース編集部

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