中国製EVが「米国で関税100%」になるのですか? 日本車に影響があるのか心配です。 いま海外で中国車はどうなっているのですか?
2024年5月14日、アメリカ合衆国のバイデン大統領は中国製EVに対しての関税を100%へ引き上げると表明しました。どんなクルマがどの程度影響を受けるのでしょうか。
アメリカ政府、中国製EVへの関税4倍に引き上げ!でも実は影響は微々たるもの?
アメリカ合衆国のバイデン大統領は2024年5月14日、中国製EVに対しての関税を100%へ引き上げると表明しました。
どんなクルマがどの程度影響を受けるのでしょうか。
アメリカ合衆国は現在、輸入車に対して乗用車は2.5%、トラック(ピックアップトラック含む)は25%の関税を課しています。
これは日本車や欧州車などに適用される税率ですが、日本メーカーは一部車種を米国国内で製造することに加え、輸入車であっても税率は僅かなものだと捉えるなど、その影響はさほど大きくはありません。
一方、中国で製造された電気自動車(BEV)の場合は事情が異なります。
現在は乗用車であっても日本車や欧州車の10倍にもなる「25%」の関税を課されている中国製BEVですが、2024年5月14日、バイデン大統領はこの税率を4倍となる100%に引き上げると表明しました。
100%とはつまり、車両価格300万円のクルマなら関税は300万円。なので、販売価格は600万円となります。
中国の自動車メーカーは中国政府より多額の補助金を受けていると言われており、中国製BEVがじわじわと侵食している欧州においても、このことが問題視され始めています。
欧州連合(EU)における政策執行機関「欧州委員会(EC)」もこの問題に関する調査を始めている段階で、2024年11月までに結論を出すとしています。
アメリカ合衆国においてBEVを正規で販売する中国メーカーは2024年5月末現在、一社も存在しないものの、その脅威が差し迫っていることを危惧する声は以前より聞かれていました。
2024年3月5日には、共和党のマルコ・ルビオ上院議員が製造国に関わらず、中国メーカーのBEVに一律で2万ドル(約313.8万円)の関税を課す法案を提出しました。
そしてこのたび、通商法301条にもとづき、「中国政府の補助を受けて不当に安く販売されている製品から、アメリカの産業と労働者を保護する」として中国製BEVに対する関税が100%に2024年8月1日より引き上げられることとなったのです。
先述の通り、アメリカで乗用BEVを大きな規模で販売する中国メーカーは存在しないため、直接的な影響は微々たるものです。
その一方で、中国メーカーが手を伸ばし始めているメキシコ市場においても同様の措置が取られると警戒し、対策を講じ始めているメーカーもあります。
そのひとつが、電動車の生産・販売において世界をリードする「BYD」です。
BYDはバイデン大統領が関税引き上げを表明したのとほぼ同じタイミングで、メキシコ市場にて新型ピックアップトラック「シャーク」を発表しました。
シャークはプラグインハイブリッド車(PHEV)となりますが、BYDの担当者によれば、BYDは今後2、3年以内にメキシコの工場を本格稼働させるとしています。
年間15万台の生産能力を有するメキシコ工場で生産すれば、たとえメキシコ政府がアメリカ政府と同調して同様の関税措置を講じたとしても、国内生産であるために回避できるという目論見です。
メキシコ政府自体は現時点で中国製BEVに対して関税を引き上げてはいませんが、企業に対する土地価格や税制面での優遇措置は取りやめています。
日本製完成車は対中国輸入関税率は以前より100%です