タクシー運賃「乗る前に確定」の社会実験開始 その先にある未来とは?
東京のタクシー、矢継ぎ早の改革 背景には何が?
――2017年1月に東京23区と武蔵野市、三鷹市のタクシーで初乗り運賃が410円に値下げされたことといい、立て続けに改革が行われていますが、背景には何があるのでしょうか?
2016年に、国とタクシー事業者などからなる「新しいタクシーのあり方検討委員会」で決まった11の改革項目があり、初乗り運賃の値下げや、今回の事前確定運賃もそのひとつです。配車アプリを使ってまずは実験していこうという趣旨のもとで始めます。
――実験後は制度改革にどう生かしていくのでしょうか? 配車アプリを使用しなくても事前に運賃が確定するようになるのでしょうか?
いえ、規制改革会議のなかで現在とは異なるタクシーメーターをつくるということも話題に上がってはいますが、今回の実験を踏まえて本制度へつなげていくにあたっては、配車アプリや電子地図を使うことが前提になるかと思います。
今回の実験でも、配車アプリには「実証実験期間中の事前確定運賃の総額とメーター運賃の総額との乖離(かいり)が2パーセント以内であること」などの設計要件を定めていますが、こうしたことを盛り込んだうえで、国が定める制度のなかにアプリなどが関わってくる可能性があります。
――「現在とは異なるタクシーメーター」とは具体的にどういうものでしょうか?
タクシーメーターは計量法に基づき、タイヤの回転に合わせて距離を測るしくみになっていますが、これを実際の走行によらず、電子地図上の距離計測によって算出するものです。いまやカーナビでも距離を図ることができ、今後、準天頂衛星「みちびき」(編注:「日本版GPS」とも呼ばれる人工衛星。アメリカの衛星に頼っている日本のGPSを補完する)の整備によってGPSのさらなる精度向上も見込まれていることが背景にあります。もちろん、実験の結果を受けて既存のメーターも必要という結論に至ることもあるでしょう。