日産で一番売れてる「ノート」なぜ派生車がお買い得? 上級仕様でも「オーラ&オーラNISMO」が“割安”といえるワケ
日産「ノート」は、「ノートオーラ」「ノートオーラNISMO」といった派生車もラインナップしています。そしてこれらのモデルがベース車よりも“お買い得”だというのですが、どういうことなのでしょうか。
ノートの「派生車」何がいい?
新車の開発には膨大なコストを要するため、効率が重視されます。従ってひとつの車種を大量に生産/販売することが理想です。
しかしユーザーのニーズはさまざまですから、1車種を大量に売るのは難しいもの。
そこでエンジンやプラットフォームなどの基本部分を共通化し、複数の車種を開発したり派生車種を造ることで、開発コストを抑えながら幅広いユーザーをカバーするというわけです。
現在、日産でもっとも売れているのは小型ハッチバックの「ノート」です。現行モデルは2020年に全面刷新した3代目で、全車がハイブリッドの「e-POWER」専用車となりました。
そして発売から半年後に、上級車種の「ノートオーラ」を加えています。
ノートオーラを設定した背景には、日産の国内販売戦略がありました。
日産はなるべくコストを安く抑えるために、背の高いコンパクトカーやコンパクトミニバンは用意していません。
また、以前の日産には、コンパクトな「キューブ」や「ティーダ」、「ウイングロード」などがありましたが、すでに廃止されています。
その代わり、ベーシックなノート、派生車種として上級志向のノートオーラ、スポーティな「ノートオーラNISMO」をそろえて、幅広いユーザーを効率良くカバーする戦略をとったのです。
しかもノートオーラは価格が割安です。ノートオーラの「G」グレードの価格は269万9400円で、ノートの「X」グレード(229万9000円)に比べると40万400円高いですが、装備も充実。
車線変更時などの事故を防ぐ後側方衝突防止支援機能、移動物の検知機能を備えた「インテリジェントアラウンドビュモニター」やアルミホイールなど、ノートオーラGにはノートXに設定される27万円相当のメーカーオプションが標準装着されています。
しかもノートオーラGの内外装はノートXに比べて上質です。ハイブリッドのe-POWERもノートに比べて動力性能が高く、サスペンションの変更で走行安定性も向上させました。
このようなノートオーラとしての上質な価値が、価格差の40万400円から装備換算額の27万円を引いた約13万円で達成されています。
両車の価格差は約40万円と大きいですが、ノートオーラはそれ以上の価値をもっており、したがってノートオーラは、“ノートよりも買い得”と判断できるのです。
そしてノートオーラのグレードで特に注目されるのが、スポーティなNISMOです。
ノートオーラNISMOの価格は298万1000円ですから、ノートオーラGよりも28万1600円高であるものの、その分プラスされる装備は多岐にわたります。
外観ではNISMO専用のフロントグリルやエアロパーツが装着され、タイヤサイズは共通ですが、アルミホイールは専用開発されてタイヤもミシュラン・パイロットスポーツ4に強化されました。
内装でもステアリングホイール、ディスプレイ、シート生地などがNISMO専用です。
さらにe-POWERを制御するコンピューターやサスペンションのセッティングもNISMO専用のものを採用。走行特性を切り替えるドライブモードは、ベース車のスポーツモードの代わりにNISMOモードを採用して、速度の伸びが良い運転感覚を味わえます。
ノートオーラNISMOでは、これらのドレスアップやチューニングを全部含めて約28万円で得られるため、ノートシリーズでは最も買い得だといえます。
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2024年1月から3月の販売データを見ると、ノートシリーズの43%をノートオーラが占めており、その内の約20%がNISMOでした。
ノートオーラNISMOは趣味性の強いスポーティグレードですが、割安な価格によって販売台数を増やしたといえます。
ノートオーラやノートオーラNISMOのような車種を見つけると、高い満足感を割安に得られるのではないでしょうか。
Writer: 渡辺陽一郎
1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を得意とする。
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