超進化した新型「GRヤリス」4月8日発売! 豊田章男氏が語る「誕生秘話」 「トヨタのスポーツ4WD」とは

そしてフルチューニング仕様の「GRMNヤリス」やアップデートに繋がっていく…

 そのトライが、2022年に限定500台で発売されたフルチューニング仕様の「GRMNヤリス」、そして既販車へのアップデートプログラム/パーソナライズなどに繋がっていきます。

 今回登場した進化型GRヤリスはその“集大成”と言ってもいいでしょう。

「実は当初の企画は『法規適合くらいで変える必要はない』と言う判断でしたが、ここでもモリゾウさんに『鍛えた結果は、できるだけ早いタイミングでユーザーに還元すべき』とガツンと言われました。

 確かにこれまで様々なチャレンジをさせてもらいましたが、チャレンジしただけでは何の意味がありません。

 それならこれまでモータースポーツの世界でトライしてきた事を、全て盛り込んでしまえと考えました。

 ちなみにWRCドライバーが監修した特別なモデルはそんな経験・知見がたくさんあったからこそ、素早く対応することができました」

水素エンジンを乗せたGRヤリス(左上)究極のGRMNヤリス(左下)鍛え続けてきたモリゾウ選手(右上)GR-DAT開発を先行してきた早川副会長
水素エンジンを乗せたGRヤリス(左上)究極のGRMNヤリス(左下)鍛え続けてきたモリゾウ選手(右上)GR-DAT開発を先行してきた早川副会長

 ちなみにGRヤリスの販売計画は、当初は「発売初年度にホモロゲ獲得に必要な2万5千台を生産、その後は10年くらいかけて4万台売る」だったと言いますが、蓋を開けると登場3年で4万台以上を発売。どの仕向け地でも「もっと欲しい!!」と言う声があるようです。

「嬉しい反面、欲しい方全てにお届けできていない反省も。

 当初は売れるかどうか、皆が懐疑的だったので、完全な采配ミスです。

 GRヤリスを生産している元町工場の生産ラインの能力は約2100台/月ですが、現在それを引き上げるためのカイゼンを進めています」(齋藤氏)

 豊田氏は「社会情勢や景気に左右されないスポーツカービジネスを行なう」ために、今までとは異なるアプローチを取ってきました。

 それはGRヤリスも同じで「赤字はダメよ」と。ただ、予想を超える販売の結果、次のモデルに投資できる開発資金が生まれた、進化型を世に出すことができたと言うわけです。

 このように進化型は“現時点”では最良のGRヤリスなのは間違いないが、「モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり」ゴールはない。開発チームはすでに次のステップに進んでいます。

 更に進化型のアップデートパーツもスタンバイされているようなので、今後の展開も目が離せません。

 そして最後に齋藤氏は次のように締めくくりました。

「このクルマは乗ってナンボのモデルですので、購入された人は色々な“道”を走ってください。

 我々はユーザー皆さんも開発チームの一員だと認識しています。

 気になる事はSNSなどを通じて発信してください、常にチェックしていますので」

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Writer: 山本シンヤ

自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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