ホンダ新型「アコード」発売! 専用の“新ハイブリッド”は「スポーツエンジン」並!? 見た目ではわからない“スゴさ”とは
走るとわかるアコードのスポーツe:HEVとは
まずはドライブモード・ノーマルで走行します。シビックやZR-Vと同じく“電動車感”は強めで、アクセルをかなり踏み込んでもエンジンはなかなか始動しません。
この辺りは高出力モーターの余裕とバッテリー制御の進化が効いているのでしょう。
バッテリーが減るとエンジンは始動しますが、遠くで囁いているくらいのイメージで存在感は少なめです。
これは遮音性の高さはもちろんですが、濁音が少なめのエンジンサウンドなども効いているような気がしました。
ここまでは“想定内”ですが、このユニットの旨味はドライブモード・スポーツです。
語弊を恐れずに言うと、まるで「スポーツエンジン」に近いフィーリング。もう少し具体的に言うと、繋がっていないはずのエンジンと駆動系がまるで繋がっているかのような直結感と、回すほど力が湧き出るようなエンジンの伸び感と心地よく澄んだサウンドです。
この辺りはダイレクトアクセルとリニアシフトコントロールと言った制御技術の進化やASC(アクティブ・サウンド・コントロール)などが活きているのでしょう。
個人的にはアコード・ユーロR(CL7)に搭載されていたバランサーシャフト付のK20Aを思い出したくらいで、「スムーズ&滑らか」と「官能的」が共存しています。
パドル(回生の効きを調整可能)を活用すればスポーツドライビングも可能。ある意味、ハイブリッド嫌いでも納得のハイブリッドと言えるかもしれません。
今回はパワートレイン体感が主ですが、フットワーク系についても少しだけ触れておきます。
プラットフォームは先代のアップデート版です。具体的な変更箇所は公表されていませんが、フィットやシビックと同じように素性を使い切る最適が行なわれています。
ちなみにサスペンションにはアダプティブダンパー、タイヤはミシュランの電動化時代の最新プレミアムタイヤ「eプライマシー」が奢られます。
まずはゆっくりと走ります。走り出した瞬間から剛性の高さを感じるボディ、滑らかで芯のあるステアリングなどは、「プレミアムセダン」の領域に入っています。
快適性はホンダ最良の仕上がりで、入力の伝わり方の少なさ、ギャップ乗り越え時のシットリとした足の動かし方などは、クラウンセダンや欧州プレミアムとガチで比べたくなるレベルです。
ただ、この辺りは先代からの正常進化と言う意味では想定内です。新型アコードとしての驚きは、速度を上げて走行した時にありました。
それはFF横置きレイアウトとは思えない前後バランスの良さ、無駄な動きを抑えたボディコントロール、4輪の接地性の高さなどが相まって、まるでボディサイズや車両重量が一回り、いや二回り小さくなったかのような軽快感と一体感を備えていた事です。
具体的には、フロントは回答性の高さは舵を入れるとアンダー知らずでグイグイとノーズが入るフロントと四駆のような鉄壁の安定感のリアとのバランスによって、路面を選ぶことなく「意のまま」と「安心感」が高度にバランスされています。
ドライブモード「ノーマル」でもSi/SiR/ユーロR/タイプSと言ったこだわりのあるスポーツ系モデルを遥かに超えるハンドリングを備えていますが、「スポーツ」を選ぶと、よりダイレクト/よい俊敏/よりレスポンシブルな特性となり、ズバリ「快適性を一切損なわない本格スポーツセダン」の走りです。
更にブレーキも回生協調ブレーキながら、タッチ/コントロール性共にメカニカルブレーキと錯覚してしまうくらい自然なフィーリングにビックリです。
そろそろ結論に行きましょう。走る/曲がる/止まるに関しては、「スポーツハイブリッド」の名に恥じない仕上がりです。
個人的にはシーンに応じて「プレミアム」と「スポーツ」、どちらにもなれる二面性こそが、新型アコードの「個性」だと思いました。
ただ、最大の難点は、見た目からこのクルマの凄さがまったく感じられない事です。筆者も乗る前は「主力マーケットを考えると、よく言えば大らか、悪く言えば大味な乗り味だろうな」と思ったくらいですから。
新型アコードは若い世代やセダン離れしてしまったユーザーに振り向いてもらうべく開発されたと言います。
筆者はアコードの若返りとは「おじさんが無理に若作りする事」ではなく、「若い人が見て『おじさんカッコいいよね!!』と言ったような憧れの存在になる事」だと考えています。
確かに走りやメカニズムにはその片鱗は感じられましたが、ユーザーはメカニズムを買うのではなく、クルマを買うわけなので。
新型アコードは間違いなく「いいクルマ」ですが、若返りを解りやすく正確に伝えるためには「もう一味が欲しい」。それが筆者の強い想いです。
Writer: 山本シンヤ
自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
これ超かっこいいか?めちゃくちゃ地味
ホンダは絶対デザイナー変えた方がいい。
ホンダの車は地味で変な車が多い。