200万円切りなのにこれで十分!?

　トヨタ「シエンタ」は、コンパクトなボディに3列シートと後席両側スライドドアを組み合わせ、使い勝手の良さが支持されています。
　
　2023年の年間では国産ミニバンのなかでトップの販売台数を記録するなど、人気モデルとなっていますが、比較的手軽な価格設定も特徴のひとつです。

　現行型シエンタは、2022年8月に7年ぶりのフルモデルチェンジを果たした3代目です。

　歴代モデルの使い勝手の良さはキープしつつも、TNGAプラットフォームを採用したことによる走行性能の向上や、最新のハイブリッドシステムの採用、先進運転支援「トヨタセーフティセンス」の機能熟成などの刷新を図りました。

　内外装デザインは質感を高めただけでなく、欧州ミニバンのような“道具感”を演出しつつ、ポップなカラーリングやシックなインテリアを採用するなど、ファッショナブルなモデルとなりました。

　ボディサイズは全長4260mm×全幅1695mm×全高1695-1715mm、ホイールベース2750mmです。

　ラインナップは1.5リッター3気筒ガソリンと同エンジン＋モーターのハイブリッドモデルを用意。いずれも2WD（FF）と4WDを設定しています。

　そんなシエンタですが、発売当初から常に好調を維持し続けており、2023年の年間販売台数では国産ミニバンで1位、登録車全体でも3位につけるなど、実力を示しています。

　これまでのパッケージングの良さもさることながら、車両本体価格が著しく向上している昨今の新車のなかでも、比較的安価な価格設定であることも人気を保持している理由と考えられます。

　最も安いモデルは、1.5リッターガソリンエンジンを搭載する7人乗りモデル「X」（2WD）で車両本体価格（消費税込）は199万円。各種税金などを含めても220万円程度に収まります。

　ミニバンとして車両本体価格が200万円を切るモデルは国内メーカーでは用意されておらず、かなり手頃な設定であることがわかります。

　その一方で、上級モデルにあるような快適・機能装備の一部は簡略化されているようです。

　エクステリアではヘッドライトとテールライトのデザインが、シグネチャーランプが装備されない質素なものとなるほか、グリル周囲の金属調加飾やアルミホイールなどが装備されません。

　ボディカラーも通常は9色が設定されるのに対して、ブラック、ホワイトパール、ベージュ、アーバンカーキの4色のみに絞られ、塗り分けがオシャレな2トーンカラーの設定はありません。

　機能面では、両側スライドドアが助手席側のみ電動で運転席側は手動スライドドアへと変更され、キーはスマートキーではなく鍵穴に差し込んでエンジンを始動するキーレスを装備。エアコンもオートではなくダイヤル式のマニュアルエアコンです。

　インテリアにおいても、インパネやドアアームレストなどにファブリック素材が使われず、プラスチック材むき出しとなり、スマートフォンとの接続が可能なディスプレイオーディオも省略されています。

　このほかにも選択できるオプションの幅が狭まるなどの制約はあるようですが、簡略な装備は表面的なところにとどまっています。

　例えば機能装備面では、レーダークルーズコントロールやプリクラッシュセーフティ、運転状況の先読みアシストを行うプロアクティブドライビングアシストなどの先進運転支援システム、トヨタセーフティセンスは最廉価モデルでも標準装備。

　フルLEDヘッドランプやパーキングサポートブレーキ、サイド・カーテンエアバッグ、スマホなどの充電用USB端子なども備えられています。

　最新のミニバンが必要でも購入価格を抑えたいというのであれば、シエンタ Xグレードは十分選択肢になりうると言えます。

　なお、Xにはハイブリッドモデルも設定され、こちらは242万円からの設定で国内の新車ハイブリッドミニバンとしては最安です。