ホンダ「爆速スポーツモデル」どうなる? エンジン音サイコー! 電動化進める中で「タイプR」の存在意義とは

シビック タイプRが最高のコストパフォーマンスを持つ理由

 一方、ホンダはいまや世界に名だたるグローバル企業である以上、「創業者の想い」だけで「タイプR」を存続させるわけにはいきません。

 言うまでもなく、ハイパフォーマンスカーの開発には多額のコストを要することはいうまでもありません。

 時代に逆行するガソリンエンジン車であるならそれはなおさらです。

 実際、ホンダのフラッグシップスポーツカーであるNSXは2016年に復活を果たしたものの、ほどなくして生産終了となってしまいました。

 その背景には、2000万円オーバーの価格設定であるにもかかわらず、一定の利益を確保することができなかったものと考えられます。

 ただ、シビック タイプRはそのパフォーマンスを考えると決して高価なモデルとは言えません。

タイプRは電動化でも残り続ける?
タイプRは電動化でも残り続ける?

 では、なぜシビック タイプRは高いパフォーマンスと手頃な価格設定を両立できているのでしょうか。

 それは、シビック タイプRのベースとなるシビック自体の出来の良さが大きく関係しています。

 2022年9月にシビック タイプRが発売された際、国内向けの月産台数は400台と発表されました。

 単純計算で年間4800台となり、海外向けを含めたとしてもせいぜい2〜3万台の年間生産台数になると予想されます。

 しかし、ベースとなるシビックは、北米市場だけで年間20〜30万台程度を販売するホンダの大黒柱とも言えるモデルです。

 大型のリアウィングをはじめとした数々の専用装備が特徴のシビック タイプRですが、ボディそのものはベースのシビックから大きな変更はありません。

 それはベースのシビック自体のボディ剛性の高さを示しているわけですが、それを実現している最大の理由は、シビックがホンダの屋台骨を支える超重要車種であるからにほかなりません。

 つまり、シビック タイプRが高いパフォーマンスと手頃な価格を維持している理由は、ベースとなるシビックそのものの出来の良さ、そして人気の高さに裏打ちされているというわけです。

※ ※ ※

 BEVやFCEVなどの電動車は、ガソリンエンジンなどの内燃機関を搭載したクルマに比べて、走りの面で個性を演出しにくいと言われています。

 逆に言えば、走りのイメージの強い電動車をラインナップできれば、ライバルに対して大きな強みとなる可能性があります。

 現在のホンダの戦略を見る限り、ガソリンエンジンを搭載した「タイプR」が遅かれ早かれ消えていくことは間違いなさそうですが、「タイプR」という名前がもたらす走りのイメージは、電動車が主流となっても生き続けると考えられます。

 そういった意味で、電動化を積極的に推進するホンダが、ガソリンエンジンの「シビック タイプR」を提供することはまったく矛盾していないと言えそうです。

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Writer: Peacock Blue K.K.

東京・渋谷を拠点とするオンライン・ニュース・エージェンシー。インターネット・ユーザーの興味関心をひくライトな記事を中心に、独自の取材ネットワークを活用した新車スクープ記事、ビジネスコラム、海外現地取材記事など、年間約5000本のコンテンツを配信中。2017年創業。

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