輸入車の新車ランキング4位は「トヨタ」!? なぜ国産メーカーが“輸入車”を販売? 日産・マツダにもある「謎の輸入車」とは?
2023年度上半期の輸入車の新車登録台数のデータでは、4位にトヨタ、7位に日産、10位にマツダがランクインしています。輸入車のランキングなのに、なぜ国産メーカーの名前が出てくるのでしょうか。
国産メーカーが海外からクルマを輸入して販売している!?
日本自動車輸入組合(JAIA)の発表によると、2023度上半期の輸入車新規登録台数はメルセデス・ベンツが1位となっており、BMW、フォルクスワーゲンと続き、ドイツメーカーがトップ3を占めています。
さらにそれ以下を見ると、輸入車の新規登録台数にもかかわらず、驚くことに、4位にトヨタ、7位に日産、10位にマツダがランクインしているのです。
これらの3メーカーはいうまでもなく国産車メーカーです。それにもかかわらず輸入車のランキングに登場しているのは、一体どうしてなのでしょうか。
輸入車にカウントされている国産車は、日本メーカーの海外工場や日本メーカーから委託を受けた海外企業の工場で生産され、日本に輸入・販売されているクルマです。そのほとんどは、国内生産のモデルと同じように、普通にディーラーで新車として販売されているクルマなのです。
「逆輸入車」とも呼ばれ、かつてはホンダ「アコードクーペ」や三菱「エクリプス」などが存在していましたが、現代はどんなクルマが輸入されているのでしょうか。
トップ10入りした3メーカーの“輸入車”をチェックしてみましょう。
2023度上半期のトヨタ製輸入車の新規登録台数は、乗用車が846台、貨物車が1万4577台で合計1万5423台になります。これは2位BMWの1万6812台や3位VWの1万6307台に迫り、輸入車全体の1割を超える数字です。
具体的な車種でいうと、乗用車は「GRスープラ」のことです。
「スープラ」はもともと「セリカ」の6気筒版として1978年に北米で「セリカ・スープラ」の名称で登場したのがはじまり。
当初日本では「セリカXX」の名前で販売されましたが、1986年に行われた3代目へのモデルチェンジを機に日本国内でもスープラを名乗るようになりました。
現行のGRスープラは5代目にあたり、スポーツカー需要の低下から単独での開発を断念。BMWとの共同開発により誕生したモデルです。
そうした経緯により、プラットフォームを共有するBMW「Z4」と同じく、オーストリアの自動車製造メーカーである「マグナシュタイヤー」が製造を担当。つまりGRスープラは「オーストラリア製の輸入車」なのです。
トヨタの輸入車の9割以上を占める貨物車はというと、こちらは2車種が輸入販売されています。ひとつはピックアップトラックの「ハイラックス」です。
1968年に初代登場と長い歴史を持つモデルで、長らく日本で生産も販売もされていましたが、ピックアップトラック自体の需要が低迷したこともあり、2004年に6代目モデルをもって販売を終了。
7代目は安定した需要のある東南アジアや中南米、アフリカなど各地で生産する世界戦略車へと発展した一方で、残念ながら日本で販売されることはありませんでした。
しかし、2015年にモデルチェンジを受け8代目へと進化したハイラックスは、折からのSUVブームもあって2017年に日本市場でも再登場を果たすことに。
販売台数の少ない日本ではなく、ピックアップの需要が高いタイで生産される輸入車という形でピックアップファンの期待に応えました。
もう1台の輸入されている貨物車は、セミキャブスタイルのバンおよびトラックの「タウンエース」です。
「ハイラックス」同様に歴史のあるモデルで、初代モデルの登場は1976年。2020年にタウンエースに統合されて絶版となった「ライトエース」の上級姉妹車として誕生したクルマです。
2008年にデビューした現行モデルは4代目にあたり、それまで設定のあったワゴン(乗用車)モデルが廃止されました。
もともとダイハツとOEM関係にあるモデルでしたが、3代目までの国内生産から一転、インドネシアのダイハツの生産拠点「アストラ・ダイハツ・モーター」で生産したものを輸入して販売するようになりました。
なお、ダイハツ「グランマックス」とマツダ「ボンゴ(5代目)」は姉妹車にあたり、こちらも輸入車として日本で販売されています。
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