クルマは定期的なメンテナンスが大切ですが、中でも「クルマの血液」ともいわれるエンジンオイルは特に重要で、交換を怠るとクルマに重大なトラブルが発生するおそれもあります。
　
　一般的に販売されているエンジンオイルには種類や価格帯など様々なものがありますが、どのような違いがあるのでしょうか。また、高級なオイルを使用する方が良いのでしょうか。

　クルマは様々なメンテナンスが必要ですが、エンジンオイルはしばしば交換を勧められたり、自身で期限や走行距離を決めたりして交換する人も多いでしょう。

　このエンジンオイルは、エンジンの摺動部に満たされるもので、主に次の5つの重要な役割を担っています。

　1つ目は潤滑作用です。エンジン内部の部品の摩擦を減らします。

　2つ目は密封作用です。オイルが部品同士の隙間を塞ぎ、エンジンが燃焼する際の圧力を外に逃がさないよう作用します。

　3つ目は冷却作用です。燃焼して高温になったエンジン内をオイルが循環して熱を吸収し放出することで、エンジンの温度を下げる効果があります。

　4つ目は洗浄作用です。エンジン内部に生じるスラッジやススなどの汚れを洗い流します。

　5つ目は防錆作用です。金属の表面にエンジンオイルで膜を作ることで水分が直接触れることを防ぎ、錆の発生を抑える効果があるほか、腐食を防ぐ作用もあります。

　エンジンオイルにはこれらの様々な役割がありますが、それぞれの効果を維持するためには定期的な交換が欠かせません。

　交換時期は、クルマによって1年または走行距離1万kmごとと指定されていることもありますが、一般的には6か月または5000kmのうちどちらか早いほうのタイミングで交換することが推奨されています。

　なぜならばエンジンオイルは走行するほど劣化していくことに加え、クルマを動かさなくても劣化や酸化して本来の性能を発揮できず、エンジントラブルの原因となったり、燃費が悪化したりすることもあるためです。

　こうしたことからクルマの血液として重要な存在で、交換を怠ってはならないものとなっています。

　一般的に、カー用品店などのエンジンオイル売り場では、様々な種類のオイルが販売されており、価格もひと缶数千円から1万円を超えるものまで大きく違いがありますが、この価格の違いは何なのでしょうか。

　まずエンジンオイルはベースオイルと添加剤によって構成されており、さらにベースオイルは「鉱物油」「部分合成油」「化学合成油」の3種類に分けられます。

　鉱物油は、蒸留した原油を精製したオイルで、安価であるものの合成油と比較すると性能の低下が早い傾向です。

　一方、化学合成油は人工的に作られたオイルで価格は高めですが、不純物が含まれず、オイル粒子も滑らかで小さいため、鉱物油と比較して性能が低下しづらい傾向にあります。

　部分合成油は鉱物油と化学合成油を混ぜたもので、性能や価格はほかの2種類の中間に位置しています。

　このベースオイルの違いは、オイルの価格を左右する最も大きな要因です。

　また、メーカーや商品によって配合される添加剤がそれぞれ異なる点も価格を左右します。

　添加剤は、油膜を強固にするなどで摩擦を低減させたり、また特殊な成分を含めることで洗浄作用を増すなど、様々な効果が各オイルで異なっています。

　これによりオイルの性能も大きく変わってくるため、価格にも影響するのです。