なぜ「AT車」は勝手に進む? 「クリープ現象」のクリープとは何の意味? 正しい使い方とは
勝手にクルマが前に進み出す現象を「クリープ現象」と言いますが、「クリープ」とはどのような意味なのでしょうか。
「クリープ」とはどういう意味?
AT車を運転していると、勝手にクルマが前に進み出す現象を「クリープ現象」と言います。
このクリープ現象の「クリープ」とはどのような意味なのでしょうか。
クリープ現象とは、AT車のエンジンがアイドリングストップ中にアクセルを踏まない状態でも勝手に進み出す現象のことです。
そもそも「クリープ」とは、人・動物・虫などが腹ばいになって這って動くことや乗り物がのろのろと進むことという意味があります。
実際のクリープ現象では、平たんな場所での走行であれば10km/Lほどのスピードとなり、下り坂では速度が徐々に加速する特徴があります。
クリープ現象は、AT車に搭載されているトルクコンバーターの構造により発生します。
トルクコンバーター内に入っている液体によって動力を伝達していますが、「Dレンジ」や「Rレンジ」ではこの液体が常に動いているためにエンジンとトランスミッションの動力を完全に切り離すことが出来ないことから、クルマが動いてしまいます。
一方で、MT車はクラッチでエンジンとトランスミッションを繋いで動力を伝達するため、クリープ現象は発生しません。
クリープ現象にはメリットがあり、アクセルを踏まない状態でもブレーキ操作のみで速度調整できることが挙げられます。
それでは、実際にクリープ現象を活用できる運転方法としては、どのような場面があるのでしょうか。教習所の担当者は次のように話します。
「基本的にゆっくり進む時はアクセルを踏まずにクリープ現象を活用すると良いでしょう。
渋滞中や駐車場施設での走行、狭い場所での移動などに効果的になります。
また、信号などで停止する際にも活用できます。
停止線を超えないように手前で減速し、距離の微調整としてアクセルを離しクリープ現象で進むと安全に停止ができます」
他にも、エコ運転を意識するためにも発進時にクリープ現象を活用して燃費消費量を抑える方法もあります。クルマの走行時において燃料が最も消費されるのが発進時です。
発進時の燃費消費量は約4割であり、クリープ現象を活用することで、エネルギー消費量を減らすことができます。
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一方で、クリープ現象は勝手にクルマが動く現象となるため、ブレーキペダルの踏み加減がゆるいなどにより、前方のクルマに衝突するという事故も起きてます。
クリープ現象がどれほど便利であっても、ブレーキペダルをしっかりと踏む意識を忘れないようにすることが大切です。