マツダ最大全長5.1m! 新型「高級3列SUV」がマジでデカい!「CX-90」は驚きの走りを実現!? 「CX-60」との違いは?
マツダは3列シートSUVの「CX-90」を北米で販売しています。日本仕様の「CX-60」とはどのような違いがあるのでしょうか。また、今後国内投入が予定されている「CX-80」はどのようなモデルになるのでしょうか。
新型「CX-90」はとにかく迫力がスゴい!
近年SUVに力を入れるマツダですが、そのなかでも最大のボディを持つのが2023年1月に米国で世界初公開された「CX-90」です。
そんなCX-90と米・ロサンゼルスで対面。その第一印象は「圧倒的なサイズ感。そして伸びやかで美しい!」というものでした。
現在、マツダは上位車種として「ラージ商品群」というシリーズをスタートしています。
エンジンを縦置きとする後輪駆動レイアウトを採用する大型モデルというのが特徴で、国内向けの「CX-60」を皮切りに、今後登場予定の「CX-70」「CX-80」と、そしてこのCX-90と4つのモデルで構成する予定。
“60”と“70”が2列シートで、“80”と“90”はロングボディの3列シートなのが大きな違いとなっており、さらに、“60”と“80”が日本などで展開される車幅などを狭めたナローボディなのに対し、“70”と“90”は北米向けのワイドボディです。
つまり、CX-90は、“北米向けワイドボディの3列シートモデル”。これまで現地で展開していた「CX-9」の後継モデルと考えれば立ち位置が分かりやすいかもしれません。
ちなみにこのサイズのSUVで3列シートというカテゴリーには、トヨタ「ハイランダー」などライバルも多く存在。アメリカにおいてSUVの主力クラスのひとつとなっています。
アメリカ仕様のCX-90のパワートレインは、CX-60にも搭載している排気量2.5リッター4気筒ガソリンエンジン+モーターのプラグインハイブリッドと、国内展開のない3.3リッター直列6気筒ガソリンターボエンジン(284psと345psを設定)を用意。
また、CX-60とは違って、ディーゼルや4気筒ガソリンエンジンがないもアメリカならではのお国柄といえます。
CX-90の実車を前に感じたのはまず、「大きいなあ」ということでした。サイズは全長5100mm×全幅1994mmで、これはCX-60に比べると320mm長く、そして94mmワイド。
CX-60(全長4780mm×全幅1890mm)でも日本で見ると「大きい」というのが素直な印象ですが、CX-90はその上を行くボリュームに圧倒されます。
同時に、プロポーションの伸びやかさも実感。ラージ商品群は6気筒エンジンを縦置きに積むこともあってボンネットが長いのが特徴的ですが、ショートデッキのCX-60に対し、CX-90ではキャビンが長いことが伸びやかで優雅なフォルムを作り出しているのです。
このあたりは日本で3列シートとして今後登場する予定の新型CX-80にも受け継がれていることを期待したい部分です。
また、CX-90のスタイリングはCX-60に対してフェンダーの張り出しが増したことで、造形がダイナミックになっているのも見逃せません。側面の立体感が強調されて表情が豊かになったフォルムは、ワイドボディの賜物といって良いでしょう。
CX-90のインテリア最大の特徴は、3列シートだということです。
3列目を使うことなく、2列目を使うだけでもCX-60との差は明確。1列目に対して2列目の取り付け位置がより後方に下がり、その恩恵でひざまわりのゆとりは160mmほど増しており、ゆったりと座れるというわけです。
また今回の試乗車は、CX-60には設定がない2列目席のセパレートシート(左右が独立したシート)で、解放感が高いのも魅力と感じました。後席居住性の高さはCX-60にはないアドバンテージです。
一方3列目の居住性は、「このクラスとしては優れているけれど、大人が長時間移動するならミニバンのほうが良い」と感じられる水準。そんな位置づけは追って国内投入されるCX-80も同じに違いありません。
とはいえ現在国内で発売されている3列シートSUVの「CX-8」も同様なので、“継承”と考えれば素直に受け入れられるのではないでしょうか。
硬めのCX-60とは異なるCX-90の走りとは?
マツダのラージ商品群といえば、何かと話題になるのが乗り心地です。
CX-60では「硬い」という声が多いようですが、3列シートモデルに関して気になる人も多いことでしょう。
結論から言えば、CX-60に比べると、CX-90はコンフォート性の向上を感じるものでした。路面の段差を乗り越えたときに乗員へ伝わる衝撃はそれなりにありますが、CX-60と違うのはその先。
車体の上下動の収束がよく、フラットに保とうとする力が強いので、衝撃を受けた後に揺さぶられる感覚が長引かないのです。CX-60とは印象が大きく違います。
この流れでいけば、「CX-80はかなり期待できるかもしれない」と、率直にそう感じさせるものでした。
ただ、CX-90は北米向けなので全車にオールシーズンタイヤを装着しており、それにあわせたサスペンションが乗り心地を良い方向へ導いている可能性も否定はできません。
日本向けのCX-80はオールシーズンではなくサマータイヤを履くと思われますが、それも含め、CX-80の乗り味がどうなるのか非常に楽しみです。
このオールシーズンタイヤにあわせたセッティングもあってか、ハンドリングもCX-60と印象が違いました。CX-60ほどのシャープさや峠道でグイグイ曲がっていく感覚はなく、すこしだけおっとりしているのです。
とはいえ、直線と旋回のつながりも良く、思い通りに曲がる素直な操縦性はマツダらしい部分で、CX-5でオールシーズンタイヤを標準装着する「フィールドジャーニー」に近い感覚です。
これはこれで好印象であり、おそらくCX-80も同じ方向性になるのではないでしょうか。
※ ※ ※
アメリカでCX-90に乗って実感したことは下記のようです。
・やっぱり車体は大きい。ワイドボディは抑揚が増してグラマラス
・2列目はCX-60より広くて快適。これだけでメリットあり
・3列目は大人が長時間座るには厳しい。しかし、子供なら十分実用的
・乗り心地はCX-60に対して改善されている。ハンドリングは穏やかだが心地良い
ちなみに、これから登場するCX-80はCX-90を少し小さくした車体となることでしょう。全幅はCX-60と同じ1890mm。全長は5m程度と考えられます。
一方で居住性に関しては、このCX-90と同等になると考えて良さそうです。というのも、現行モデルの国内向けCX-8と北米向けCX-9では、ボディサイズは異なっても前後方向の各列のシート間距離自体は変わらないからです。
ちなみにホイールベースは、CX-8とCX-9の関係(どちらも2930mmで同じ)を考えれば、CX-80もCX-90と同じ3120mmとなるものと思われます。
Writer: 工藤貴宏
1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに寄稿している。執筆で心掛けているのは「そのクルマは誰を幸せにするのか?」だ。現在の愛車はマツダ CX-60/ホンダ S660。
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