なぜ? 刷新した2代目「C-HR」は日本未発売!? 斬新デザインの初代C-HRが果たした「役目」とは

2023年6月、トヨタは大ヒットしたコンパクトSUV「C-HR」の2代目モデルを発表しました。ただし2代目は今のところ日本導入の予定はないといいます。その理由について探ります。

SUVなのに「レース」参戦!? 数々のインパクトを与えた初代「C-HR」

 2016年にデビューしたトヨタのコンパクトクロスオーバーSUV「C-HR」が、2023年7月をもって国内生産終了となりました。C-HRはデビュー当時、クルマ業界を驚かせる一大ムーブメントを巻き起こしたクルマでした。
 
 欧州では後継の2代目C-HRがデビューしていますが、日本導入の予定は今のところ発表されていません。どうしてでしょうか。

いろんな意味で「インパクト大」だった! トヨタ初代「C-HR」
いろんな意味で「インパクト大」だった! トヨタ初代「C-HR」

 C-HRが登場した2016年当時、他社メーカーでは、ホンダ「ヴェゼル」や日産「ジューク」、マツダ「CX-3」など、200万円ほどで手に入るコンパクトSUVが人気を集めていました。

 しかしトヨタでは「プリウス」や「アクア」などのハイブリッド専用モデルがバカ売れしていた時代で、コンパクトSUVのラインナップはまだ存在していませんでした。

 そこにC-HRが登場するやいなや、猛烈な人気を集めました。

 翌年の2017年にはなんと年間登録台数11万台強を記録し、翌2018年も7万台強を売り上げ、2年連続で国産SUVカテゴリのトップセラーとなったのです。

 奇抜なデザインが印象的だった初代ジューク(2011年登場)が欧州市場でヒットした過去がありましたが、日本市場では2011年に出した年間3.2万台の記録が最高でした。

 コンパクトSUVが国内でこれほどのヒットしたのは、この初代C-HRが初めてといえます。

 これほどヒットした理由としては、ボディサイズは小さく、走りの性能にも相当に力が入れられていたことに加えて、後席の広さを多少犠牲にしても低く構えたクーペフォルムで、ジューク同様かそれ以上にエッジの効いたデザインだった、ということもあるでしょう。

 そして1.2リッター直列4気筒ガソリンターボのエントリーモデルなら、およそ240万円で手に入るコスパの良さもまた魅力でした。

 しかしそれ以上に、トヨタの宣伝の上手さがあったと筆者(河馬兎)は考えます。

 トヨタは2016年、ニュルブルクリンク24時間レースに、なんと市販前だったC-HRのプロトタイプカーで参戦。

 背の低いスポーツカーでの参戦が当たり前のレースにコンパクトSUVで参戦するという「暴挙」に打って出たのです。

 レース活動を担当したのはTOYOTA GAZOO Racing(TGR)チームで、C-HRのプロトタイプカーは無事に完走することができました。

 まさかの「クロスオーバーSUVでレースに参戦!?」という無謀に思えたチャレンジに、筆者も含めて面食らった人は多かったと思います。

 24時間耐久レースに出たマシンがほぼそのまま市販される、というか正確には市販目前のモデルが参戦した訳ですが、スポーティカーに飢えていたファンがこぞってトヨタディーラーへ駆け込む事態となりました。

 のちの2019年には、TGRによるスポーティ仕様「GRスポーツ」も登場。同時に、今の時代には非常に珍しい6速MT仕様も追加され、よりスポーティなクルマを求めるユーザーのニーズに応えています。

 このように、レーシングカーさながらのスタイリッシュなデザインとコスパの良さ、そしてアウトバーンなど速度域の高い欧州の道路で鍛え上げられた走行性能を兼ね備えていたC-HR。

 様々なユーザーから支持を集める要因が重なった結果、C-HRは空前のヒットを記録したのです。

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