スバルがMT車に「アイサイト」を初搭載! 新たな「運転支援機能」なぜ導入? 開発の裏にある3つの理由
スバルはMT車向けの「アイサイト」を新たに開発し、「BRZ」の改良モデルに初めて搭載します。一体どのような背景があるのでしょうか。
MT車でも運転支援機能は必要!
スバルが同社の運転支援システム「アイサイト」をMT車に搭載することになりました。第1弾となるのは、2023年秋に改良される「BRZ」です。
それにしても、なぜ、MT車向けアイサイトがこのタイミングで登場するのでしょうか。
今回、オンラインで会見したスバルのアイサイト開発者らは、質疑応答の際、「スポーツカーでも安全安心を提供するため、以前から(アイサイト搭載を)検討をしてきた。(今回は)新しい技術や機能による品質がユーザーに満足していただけるタイミング」という、少々まどろっこしい回答でした。
そこで、これまでのアイサイト開発の流れや、スバルの事業戦略方針、さらに自動車産業界におけるスバルの立ち位置など多角的な視点で、「なぜ、このタイミングでMT車向けアイサイトが登場するのか?」について考えてみたいと思います。
●理由その1:2025年問題への早期決着
ひとつめの理由は、規制対応です。衝突被害軽減ブレーキの義務化が2025年に実施されることが関係しているのでしょう。
国連の欧州経済委員会・自動車基準調和世界フォーラム(WP29)という国際的な枠組みのなかで、保安基準等の改正において、自動車の衝突被害軽減ブレーキの義務化が決まり、これに日本も準拠しています。
国産車については、新型車は2021年11月から、また継続生産車は2025年12月から適用。この継続生産車について、衝突被害軽減ブレーキ搭載適用が難しいモデルは2025年12月以降に姿を消すことになりかねないといわれてきました。
BRZに関しては、2021年のフルモデルチェンジでAT車に先行してアイサイトを搭載しましたが、MT車は非搭載となっていたのです。
BRZの変速機別販売比率はMTが6割、ATが4割。BRZはもちろん、兄弟車のトヨタ「GR86」もMT車の人気が高く、今後のMTの存続について心配するユーザーも少なくなかったでしょう。
そこで、規制実施の約2年前である2023年秋の時点で、現行車の量産は2025年12月以降も続けていくという意思をユーザーに知らせることを、スバルが重視したといえるでしょう。
むろん、ほかの領域における商品改良との絡みもあり、「まずはできるところからやる」(アイサイト開発者)という姿勢です。
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今回新開発されたMT車向けアイサイトの機能は、衝突被害軽減ブレーキと追従機能付クルーズコントロールが主体で、操舵支援については採用していません。
理由について開発担当者は「BRZはステアリングコラムにギアシステムがあり、(ほかのスバル車と比べて操舵支援に対する)制御の指示から操舵までの間に応答遅れが出る懸念があるため」と、ハードウエアにおける制約があると指摘しました。
そのうえで「やれるところからやる」と、BRZの商品改良に対する前向きな姿勢を示しています。
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