MTあり!「SUV」なのに「オープンカー」!? 要素マシマシな“2人乗り”モデル! 斬新すぎる“名車”スズキ「X-90」とは
「なぜこれを売ろうと思ったのか」というクルマだからこそ面白い
このように、スポーツカーのように2人しか乗れず、オープンカーのようにルーフは脱着式、そして本格的な四輪駆動車なのに最低地上高が低い……という個性的(奇抜ともいう)なモデルだったX-90。
現在の「クルマは実用性重視」という価値観からは、想像もつかないコンセプトを持ちます。
しかし、販売されていた当時も、やはりこのクルマを見て多くの人の頭上に「???」が浮かんでいたと思います。
筆者(遠藤イヅル)もまさにそうでした。2シータークーペとしてみるとユーティリティは優れていましたが、「四輪駆動車を買ったらギアを満載してアクティビティに出かけたい!」という「夢」を叶えることが難しいクルマだったのも事実です。
そのため「X-90」の販売は低迷。日本では1999年頃までに約1300台が売れたに留まりました。なお参考までに、メイン市場だった北米では約7000台が販売されたといいます。
現代では、売れる傾向に沿ったクルマばかりが発表され、「なぜこれを売ろうと思ったのか」と思わせるクルマはなかなか出現しません。
そのためX-90のように「チャレンジングなコンセプトのクルマ」は、とても面白く、魅力的に見えるのです。
そして今やSUVには様々なジャンルが登場していますが、都会派SUVはもはや当然で、クーペSUVもすっかり市民権を得ています。フルオープンのSUVなど、変わったクルマも存在します。
さすがに2シーターのSUVはなかなかお目にかかれませんが……。
そう考えると、クーペSUVとも言えたX-90のコンセプトは、時代のずっと先を走っていたのかもしれません。
スズキはエスクードで「シティクロカン」を、「ワゴンR」で「ハイト系ワゴン」の嚆矢(こうし)を生み出したメーカーでもあります。その先進性には驚かされるばかりです。
Writer: 遠藤イヅル
1971年生まれ。自動車・鉄道系イラストレーター・ライター。雑誌、WEB媒体でイラストや記事の連載を多く持ち、コピックマーカーで描くアナログイラスト、実用車や商用車・中古車、知られざるクルマの記事を得意とする。
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