トヨタ新型「クラウン セダン」は全長5m超え! “ビッグな王道セダン”はもう「いつかはクラウン」なクルマじゃない?
4つのボディタイプを持つことになったトヨタ新型「クラウン」シリーズ。そんななかでも、伝統的なボディタイプを受け継ぐ「クラウン セダン」は、全長5mを超えるMIRAI(710万6000円~)とLS(1078万円~)の中間の車格となるようで、もはや“庶民が頑張って買えるクルマ”ではなくなってしまったかのようにも思えます。
全長5m超えの「クラウン セダン」はもう「いつかはクラウン」
2023年夏に4つのボディタイプをもって登場することが突如アナウンスされた新型「クラウン」シリーズ。その後、秋に第1段として「クロスオーバー」が登場しましたが、従来のクラウンとは異なり、横置きエンジン・FFベースの4WDということで、歴代クラウンを愛用してきた層からは疑問の声も聞かれました。
そんな声が挙がることも想定済だったのか、トヨタも「セダン」が存在することを当初から発表していましたが、2023年4月、そのセダンを含む未登場の3モデルについての追加情報を発表しました。
これによると、新型セダンは2023年の秋ごろに発売を予定しており、パワートレインはハイブリッドとFCEV(燃料電池自動車)の2種類を設定し、ボディサイズは全長5030mm×全幅1890mm×全高1470mmとされています。
このボディサイズは15代目(先代)クラウンに対して全長で+120mm、全幅で+90mmも大型化がなされる計算となり、共通のプラットホームを持つとウワサされているMIRAIとレクサスLSのちょうど間に入るサイズ。
今までのクラウンと言えば、7代目モデルのCMキャッチコピーでも知られる「いつかはクラウン」に代表されるように、ステップアップの頂点のひとつとも考えられており、がんばればなんとか手が届くかも……という絶妙な価格設定がなされてきました。
ただ新型のクラウンセダンは前述したようにMIRAIとLSの中間に当たる車格を持っており、MIRAI(710万6000円~)以上、LS(1078万円~)以下の価格帯となれば、購入することができる層も限られてきてしまいます。
クラウンセダンはショーファー向け(お抱え運転手を持つVIP送迎用)の車両へと進化してしまったということなのでしょうか。
ここからは新型クラウンセダンの立ち位置について考えてみたいと思います。
まず新型クラウンシリーズについて念頭におかなければならないのが、グローバルモデルへと舵を切ったということです。今までのクラウンは基本的に国内専売車種として作られており、日本のユーザーを第一に考えて作られていました。
しかし、新型は世界40か国以上で販売するグローバルモデルへと生まれ変わり、それに合わせてワイドなボディバリエーションを持つことになりました。
日本では人気が下火となっているセダンではありますが、グローバルな視点で見てみると、まだまだフラッグシップモデルとしてのセダンは高い価値を持っており、欧州メーカーのラインナップを見てもセダンがまだまだ元気なことは火を見るよりも明らか。
そのため、新型クラウン セダンは、これらのグローバルなセダンに対抗するモデルとして新たな価値を持ったモデルに進化したと考えるのが自然でしょう。もちろんトヨタにはレクサスブランドも存在していますので、日本で進化をしたクラウンというブランドを上手く活用し、レクサスとは異なる“和”なおもてなしの空間を持ったセダンとして、棲み分けをすることも考えているに違いありません。
一方、日本国内の市場に向けては、新型クラウンの第1弾モデルとして登場したクロスオーバーがその後を受け継いだと考えてもいいかもしれません。
実はクラウンクロスオーバーのエントリーモデル(Xグレード)の価格は435万円となっており、先代モデルのエントリーモデル(Bグレード)の469万5000円よりも安い価格設定となっており(しかもクロスオーバーは4WDのハイブリッド)、こちらはまだまだ頑張れば手の届く価格帯となっています。
日本ではすでにクロスオーバーSUVがしっかり市民権を得ており、当初は危惧されたクラウンクロスオーバーも、気づけば街中で見かける機会を増えてきていますから、実際のクラウンユーザーにとってはスムーズにバトンタッチができたと言えるのではないでしょうか。
ちなみにクラウンクロスオーバーは、クロスオーバースタイルばかりが注目されますが、実はボディタイプ自体は独立したトランクを持つ4ドアセダンをキープしており、クロスオーバーモデルが受け入れられなかった場合はコンサバティブなセダンへの衣替えも不可能ではないものとも見られます。
トヨタとしてその予定があったかどうかはわかりませんが、このあたりの保険を用意しているのもさすがといったところ。4タイプのボディタイプを用意するところも含め、新しいクラウンはグローバルに愛されるモデルの第一歩を着実に踏み出したと言えそうです。
Writer: 小鮒康一
1979年5月22日生まれ、群馬県出身。某大手自動車関連企業を退社後になりゆきでフリーランスライターに転向という異色の経歴の持ち主。中古車販売店に勤務していた経験も活かし、国産旧車を中心にマニアックな視点での記事を得意とする。現行車へのチェックも欠かさず活動中。
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元々クラウンユーザーはクラウンって名前の新型が出たら良し悪し関係なく何も考えずに買い替えてた層っていわれてたな。
だから今回のFFベースのクラウンでも売れるだろうってトヨタは考えたんだろうけど、売れてるところを見るとやはり単なるミーハーユーザーだったのね。
こういうユーザーが車をつまらなくしていったんだろうな。