日産「超プレミアムミニバン」が凄い! もはや応接間のゴージャス仕様「エルグランド ロイヤルライン」とはなんだったのか
中国・上海で世界初公開されたレクサスの高級ミニバン「LM」の豪華内装が話題ですが、それよりも25年も前に日産は、元祖高級ミニバン「エルグランド」に2列・4人乗りの超豪華仕様を用意していました。日産の先見性をあらためて振り返ります。
もはや「ファーストクラス」超えの豪華内装に驚くばかり
2023年4月18日より開催された中国・上海モーターショーで世界初公開となった、レクサスブランドの高級ミニバンである「LM」。今回公開された新型は2世代目となるモデルで、日本で独自の発展をみせているミニバンの最上級仕様として、広い室内空間を贅沢に使った2列シート・4名乗車仕様を用意する点も特徴となっています。
しかしそんなプレミアムなフラッグシップミニバンのLMが登場するよりもはるか前に、全く同じコンセプトを持った車両が登場していたことをご存じでしょうか。それが1998年に登場した日産「エルグランド ロイヤルライン」です。
高級ミニバンの元祖として1997年5月に登場した初代「エルグランド」。その登場からわずか8か月後の1998年1月に登場したエルグランド ロイヤルラインは、日産車のスペシャリスト集団であるオーテックジャパン(当時)が日産と共同開発で生み出したもの。
ベースとなったのは3.3リッターV型6気筒のガソリンエンジンを搭載するもので、当時ラインナップされていたディーゼル仕様は設定されませんでした。
このロイヤルラインの最大の特徴はやはり室内にあります。
フロントシート後部には大型のキャビネットを備え、後部には航空機のファーストクラスを思わせる、ロイヤルラインのために造形された専用の電動VIPシートが2脚備わる4人乗り仕様となっていたのです。
そして右側の座席は執務席とされ、ノートパソコンを設置できる電源付きのケーブルや書類収納スペース、ビデオデッキに後席専用オーディオが備わり、左側の席はくつろぎの席とされ、テレビやフットレスト、オットマン(オプション)が用意されていました。
オプションでシートヒーターや本革仕様も設定できました。
リアゲートを開くと、フルセットのゴルフバッグが3セット収納できる広さを持つトランクスペースが存在していましたが、ここはパーテーションで室内とは仕切られており、リアゲートを開いても雨や風が室内に進入することがないように配慮。
さらにベース車に対して遮音材を効果的に使用することで優れた静粛性を実現していたのはもちろん、足回りもロイヤルライン専用にチューニングされたものが採用されており、VIP用車両としてふさわしいなめらかで快適な乗り心地を実現していました。
エクステリアは、内装に比べると変更点はそこまで大きくありませんでしたが、ベース車には設定されていなかった上質な黒の「ダークブルーイッシュブラックパール」の専用ボディカラーを設定し、フロントグリルはメッキ仕様。
さらにフロントグリルからつながるように、ボディサイドにメッキモールが走る上質なものとなっていました。
フロントグリルに備わるオーナメントもボディカラーに合わせた専用カラーとなり、リアのガーニッシュにはロイヤルラインの文字が入る専用のものが備わるなど、見る人が見れば分かる特別な仕様になっていたのが特徴です。
また初代のエルグランドは、スライドドアが助手席側にしか備わらない4ドアボディとなっていましたが、これもボディ剛性にプラスの影響を与えており、車内もよりプライベート感の強い室内空間に寄与していたことは間違いないでしょう。
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当時は日産の社長車としても導入されたことで話題となったエルグランド ロイヤルラインですが、今のように高級ミニバンというジャンルが広く浸透する前の車両ということもあって、大ヒット車種とはならなかったようです。
しかし日産、そしてオーテックジャパンの先見の明は、確実にあったといえる1台ではないでしょうか。
Writer: 小鮒康一
1979年5月22日生まれ、群馬県出身。某大手自動車関連企業を退社後になりゆきでフリーランスライターに転向という異色の経歴の持ち主。中古車販売店に勤務していた経験も活かし、国産旧車を中心にマニアックな視点での記事を得意とする。現行車へのチェックも欠かさず活動中。
日産・・・気がつくと小さな会社になっちゃいましたね。コスト削って作った売れない車ばかり。どうせ売れないのだから、コストかけて値段ふっかければ良いのに。てことで、『エッセンス』を5000万円くらいで。あのカッコ良くて色っぽいデザインなら、お金持ちがたくさん買ってくれるから、儲かるっしょ。