前席で楽しく「3人乗り」! 少子化時代の今こそ欲しい!? 変則シート配置の「クセ強」ミニバン「エディックス」とは
3人家族なら1度は「前に3名乗れるクルマがあればイイのに」と思ったことはありませんか。実は少し前に「あったんです」!
3人家族に最適! 少子化時代にこそ欲しい「フロント3人掛けシート」
セダンやコンパクトカーなど、多くの乗用車のリアシートは最大で3人乗りです。しかしなぜかフロント席に3人乗れる乗用車は、各社のラインナップには現在設定されていません。
しかし少し前までは、そんな楽しいクルマが販売されていたのです。今回はフロントに3人乗車できた個性的なクルマをご紹介します。
ホンダ「エディックス」は、2004年に発売された2列シートのミニバンという変わり種で、多人数乗車をかなえるミニバンの新たな形として登場しています。
ボディサイズは、全長4285mm×全幅1795mm×1610mm、ホイールベースは2680mm。
全長は3列シートのコンパクトミニバンよりも短く、それでいて車幅はややワイドという独特のフォルムでした。
似たような多人数ミニバンとしてのコンセプトでは、フィアット「ムルティプラ」や日産「ティーノ」がありましたが、いずれも販売が思わしくなく、1世代で終了しています。
そんななかで満を持して登場したエディックスは、単に横に前後で3名ずつ座らせるだけではなく、真ん中のシートはフロントリアともに後方にずらすことができるようになっていた点が斬新でした。
イメージとしては、1列目の中央席だけが1.5列目に、そして2列目の中央席だけ2.5列目、という風になります。
このように、単にベンチシートが2列並んでいるわけではないので、横に並ぶ3名ともしっかり座ることができます。
なおかつ、中央席が0.5列程度後方設置することで隣の人と肩が当たらないように工夫されており、快適に乗車することができるようになっていました。
また装備としても、サンバイザーが通常装備される左右席用に加え、中央席用も用意されていたり、チャイルドシートを前中央席にも設置できるようにしたり、フロント3名乗車ならではの魅力を高める装備が用意されていました。
しかし残念ながら、ムルティプラやティーノ同様に多くのユーザーには受け入れられず、エディックスも1世代限りで終了。
当時筆者(くるまのニュースライター hamataro)も購入検討のために、エディックスを試乗したことがありましたが、運転席でひとりで運転していると、幅広い車体の割には右端の隅っこに追いやられたような感覚になってしまうところに、妙な寂しさを感じた覚えがあります。
車幅も広い点もあいまって運転にも違和感が残ってしまったため、結局購入候補から外した記憶があります。
最終的にそんなエディックスは、2008年から発売を開始していたコンパクトミニバンの「フリード」に吸収される格好で、登場から5年後の2009年にひっそりと販売を終了しました。
そのフリードが大ヒットモデルとなった背景は、車幅も含めてちょうどいいサイズと、両側スライドドアというスペックにあります。
フロント3名乗車というエディックスの斬新なコンセプトも、あまり多くのユーザーには受け入れられなかったようです。
※ ※ ※
ミニバンがファミリーカーとして人気を集めた背景には、広い室内に荷物をたくさん載せられる、ということもありますが、最も大きな理由としては、セダンやコンパクトカーでは乗り切れない6名以上の乗員が乗れるという点にあると思います。
ただ広い室内は得られますが、3列シート化することでおのずと全長が伸びてしまうデメリットもあります。
万が一側面衝突した際、接近したとなりの席の人とぶつかってしまうリスクといった、安全面の課題はあるのかもしれませんが、フロント3人掛けシートの2列シート車という潜在ニーズは今でもありそうです。復活を密かに期待したいところです。
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