まさかの「“スライドドア”セダン」あった!? 思わず二度見な三菱「ランサー」に設定された特装車とは?

ミニバンやハイト系の軽自動車によく採用される「スライドドア」。構造的に相性の悪いセダンに採用されていたことがあることはあまり知られていないかもしれません。今回は衝撃のスライドドアセダン「ランサー 車いすセルフトランスサポート仕様車」について紹介します。

まさかのスライドドアセダン! その正体は?

 狭い駐車場でも安全に開閉でき、開口部が広いので乗り降りもしやすいスライドドア。ミニバンのような「天井が高め、床が低め」のタイプに広く採用され、軽自動車でもスーパーハイトワゴンなどと呼ばれるジャンルでは定番となっています。
 
 一方、「天井が高め」ではないセダンやクーペ、「床が低め」ではないSUVには、構造的にもニーズ的にも“アンマッチ”なため採用されていません。しかし、過去に三菱からスライドドアのセダンが販売されていた事はあまり知られていないかもしれません。

まさかのスライドドアセダン? 三菱「ランサー 車いすセルフトランスサポート仕様車」
まさかのスライドドアセダン? 三菱「ランサー 車いすセルフトランスサポート仕様車」

 車名は「ランサー 車いすセルフトランスサポート仕様車」。三菱自動車の主力モデルだったセダン/ステーションワゴンの「ランサー(ランサーセディア含む)」をベースにした福祉車両です。

 発売は1996年で、5代目ランサーをベースにした特装車扱いでした。後席右側のヒンジドアを改造したスライドドアは、リモコンスイッチ操作で自動開閉します(手動も可)。

 小型セダンにスライドドアという離れ業をやってのけた同車は、下股に障がいがあり、車いすを利用している人が、介助人の手を借りず、自ら運転して出かけることを想定されています。

 したがってスライドドアは、後席の乗降性向上というより、車いすの積載性を前提にしたもの。車いすの自動収納機能とセットになっています。

 また、運転席は姿勢を安定させる専用形状で、リクライニング/スライド/中折れ式シートバックに加えて、外側に向かって回転する機構が付いていました。

 ベース車が6代目へフルモデルチェンジした2000年の翌年、同車も世代交代。当時の車両価格は189万3000円~279万8000円と、ベース車の80万円高という設定でした。

 販売目標台数は月20台。オプションは、ブレーキとアクセルを手で操作する手動運転装置(16万円)、右足が不自由な方に向けた左アクセル(5万8000円)、片手でステアリング操作ができる旋回ノブ(9500円)、足の長さに合わせてペダルの高さを調整する嵩上げ式ペダル(5万9000円)などが設定されました。

※ ※ ※

 ランサーには「ランサーエボリューション」通称“ランエボ”と呼ばれた高性能モデルもありました。ランサーをベースにした高性能4WDスポーツセダンで、WRC(世界ラリー選手権)でドライバーのトミ・マキネンが4連覇を果たすなど、輝かしい戦績を残しました。

 それほどの資質を備えながらも、小型セダン市場の縮小などで車種整理の対象となり、日本市場からフェードアウトしたランサー。世にも珍しい“スライドドアセダンモデル”も含め、意義深い1台でした。

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