スバルの「水平対向エンジン」は永遠に不滅? 新社長が言及!? “スバルらしさ”今後どうなる?

スバルが新たな役員人事を発表。現社長の中村知美氏は会長になり、新しい社長には現専務取締役の大崎篤氏が就任する見込みです。新体制に移行することにより、スバルのクルマ作りはどう変わるのでしょうか。

新社長にエンジニア出身の大崎篤氏が就任

 スバルは2023年3月3日、東京都内で記者会見を開き、4月1日付で組織改正を行うと発表。あわせて、3月3日の取締役会で新しい役員人事を内定し、6月開催予定の第92期株主総会の議案とすることを明らかにしました。
 
 そのなかで、社長の中村知美氏は会長になり、専務取締役の大崎篤氏が新しい社長に就任する見込みとなりました。

新体制移行でスバルはどうなる?
新体制移行でスバルはどうなる?

 これからのスバル車はどうなっていくのでしょうか。世の中の流れに任せて、これから一気にEVシフトが進んでしまうのか、そうなったらスバル独自の水平対向エンジンは消えてしまうのでしょうか。

 今回5年ぶりの社長交代となりますが、タイミングとしては、中村氏が社長に就任した2018年に新中期経営ビジョン「STEP」を公表しており、それに沿った形でスバルはさまざまな試みを進めてきました。

 また、2018年11月には完成検査での不正が発覚し、大きく報道されたことを覚えている人も少なくないでしょう。その後、スバルを愛するユーザーのために、スバルとしては信頼回復に向けて、社内風土改革を地道に続けてきています。

 モデルを見れば、2016年登場の5代目「インプレッサ」から採用されたSGP(スバルグローバルプラットフォーム)がスバル車の走りの質感を一気に高め、その流れが各モデルの進化に結びついてきました。

 例えば、2代目「レヴォーグ」では「超革新」と銘打ち、次世代アイサイト+アイサイトX搭載も含めてユーザーから高い評価を受け、見事2020-2021年日本カー・オブ・ザ・イヤーに輝きました。

 また、トヨタとの関係強化も図ってきました。

 一例として、2019年6月に、EV専用プラットフォームとSUV型EVの共同開発を発表。それが現在のスバル「ソルテラ」とトヨタ「bZ4X」です。

 さらに、トヨタからスバルへの出資比率を上げ、またスバルもトヨタの株式を取得することで、スバルはEVやコネクテッドなど、1社では投資効果を見出しにくい領域でトヨタと連携するための体制が整ったといえます。

 このようなスバルとしての経営判断の背景にあるのは、もはや言い古されたような印象すらある「100年に一度の自動車産業大変革」という、自動車メーカーが直面している厳しい現実です。

 技術的には、CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリングなどの新サービス、電動化)が多面的に融合することで、自動車産業とIT産業との関係が深まったり、テスラを筆頭とする新興勢力がグローバルで躍進していることは、皆さんご承じのところでしょう。

 直近では、電動化について欧州連合(EU)の政治主導による欧州グリーンディール政策が大きな影響を及ぼしており、その余波はスバルの主戦場であるアメリカを直撃しています。

 さらに、アメリカでは対中政策の一環ともいわれている、IRA(インフレ抑制法)を強化する動きが高まっており、例えばEV関連の部品調達について、スバルを含めて自動車メーカー各社は頭を悩ませているところです。

 そこに、長引く半導体不足が重なっている状況で、今回の会見でも中村氏と大崎氏は「先行きを見通すことがとても難しい」と、アメリカを含めたグローバルの市場動向を表現しています。

 そのうえで、大崎氏はこれからのスバルにとってもっとも重要なことは「柔軟性と拡張性」だと表現しました。

 国や地域での規制がどのような方向になっても、小回りが効くフレキシブルな組織体系や開発・量産体制を敷きながら、タイミングを見て一気に規模を拡張するという考え方です。

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