スバルの「水平対向エンジン」は永遠に不滅? 新社長が言及!? “スバルらしさ”今後どうなる?

水平対向エンジンはどうなる?

 こうしたなかで、スバルという企業にとって、スバルユーザーにとって、そしてこれからスバルユーザーになるかもしれない人にとってもっとも重要なことは、スバル車に「スバルらしさ」をどう感じ続けることができるかということではないでしょうか。

 この点について、筆者(桃田健史)は今回の会見で、中村氏と大崎氏のそれぞれに質問しました。

スバル新型「クロストレック」に搭載される2リッター水平対向エンジン(e-BOXER)
スバル新型「クロストレック」に搭載される2リッター水平対向エンジン(e-BOXER)

 これに対して中村氏は「スバルらしさとは、お客さまに共感していただける価値。水平対向エンジン、シンメトリカルAWD、アイサイトなど、スバル車の機能だけではなく、クルマへの安心感、安全、愉しさという部分が、お客さまのスバル車に対する見方として価値として認めていただき、(スバル側とユーザー側の双方でその価値を)消化していった」という解釈を示しました。

 さらに「スバルは、お客さまの心のなかで情緒的な価値がある」ともいいます。こうした「スバルらしさ」は、たとえ電動化の時代となっても維持することは十分可能だという認識です。

 中村氏の回答を受ける形で大崎氏は「これからのカーボンニュートラル時代に(スバルらしさを感じる)安心と愉しさを実現するデバイスがどうあるべきか、いま(各方面と)突き詰めて考えているところ」として、「必ず答えがあると思っている」と前向きに回答しました。

 また、大崎氏はスバル入社後、最初の10年間は三鷹市内の事業所でエンジンとトランスミッションの設計に携わっていたといいます。

「個人的には、水平対向エンジンへの想い入れは強いので、なんらかの形で、次の時代でも(水平対向エンジンを)上手く活かせる答えがあればうれしいなと思う」とコメントし、カーボンニュートラル燃料を使った量産型の次世代水平対向エンジン実現に向けた含みを持たせました。

※ ※ ※

 スバルは2022年から、スーパー耐久シリーズのST-Qクラスでカーボンニュートラル燃料を使う「BRZ」でレース参戦しており、2023年も引き続きシリーズ参戦します。

 また、電動化については、自社工場でのEV製造や、トヨタと連携して量産型ストロングハイブリッド車の開発を進めていることも、今回の会見で改めて説明しています。

 電動化や、水平対向エンジンの将来構想などを含めた詳しい技術ロードマップについては、近いうちの公表が見込まれる新たな中期経営ビジョンのなかで示される予定です。

 新しい経営陣となるスバルの門出を祝うとともに、「スバルらしさ」の新たなる姿がどのように実現されるのか期待が高まります。

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Writer: 桃田健史

ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
近著に「クルマをディーラーで買わなくなる日」(洋泉社)。

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