普通の「アイサイト」と何が違う? スバルの高度運転支援システム「アイサイトX」のスゴさとは?
2030年死亡交通事故ゼロを目指す
このようにアイサイトXは、高速道路上のさまざまな状況に合わせて、キメ細かな運転支援をおこない、そのおかげでドライバーの疲労はさらに抑えられ、安全運転に集中できるよう支援するのですが、ドライバーの健康に問題が生じたときは、ドライバー異常時対応システムが作動します。
ハンズオフアシスト中の前方不注意や、ツーリングアシスト中の手離し運転を検知すると、車両側が音と表示でドライバーのステアリング操作を催促。このときにドライバーの反応がないと、走行している車線を維持しながら、少しずつ速度を下げて停止。ハザードランプやホーンも作動させ、周囲の車両や歩行者にも注意を促す機能も備えました。
アイサイトXテクノロジーには、高速道路を中心に、安全性を高めて疲労を抑える数々の機能が盛り込まれており、この機能を搭載するレヴォーグやWRX S4、レガシィアウトバックは、いずれも走行性能が優れているため、長距離を移動するユーザーも多いでしょう。
そうなると高速道路を通行する機会も増えますから、アイサイトXテクノロジーは、安全性を高めるうえで効果的なメカニズムだといえます。
しかも価格が割安であることもポイントで、アイサイトXテクノロジーを標準装着した「レヴォーグGT EX」の価格(消費税込)は348万7000円です。アイサイトX非搭載の「GT」に比べて38万5000円高いのですが、デジタルマルチビューモニターなどの視界拡張テクノロジーや、11.6インチセンターインフォメーションディスプレイ&インフォテインメントシステムも含まれます。これらのメーカーオプション価格が27万5000円ですから、アイサイトXテクノロジーは、実質11万円程度で装着されていることになります。
2010年にアイサイトバージョン2を10万円に設定したときと同じく、スバルは優れた安全装備を低価格で装着しています。その理由は、安全性の向上には、実際に走行している装着車の台数も大切になるからです。
仮に極めて高度な安全装備を開発しても、価格が高いために搭載車の販売台数が増えなければ、現実の事故件数を減らす効果も薄れます。
アイサイト搭載車の場合、追突事故の発生率が1万台当たり6台と極めて低く、現在ほとんどのスバル車に標準装着されるようになりました。
これに加えてより高度な運転支援をおこなうアイサイトXを割安に提供して搭載車を増やすことによって事故を防ぎ、スバルは2030年の死亡交通事故ゼロを目指しているのです。
Writer: 渡辺陽一郎
1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を得意とする。
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