なぜ「メロディ信号」は減った? 紛らわしさ防止で擬音に変化 今後はスマホ通知も増えるか
改良を続ける音響信号 「ハイテク技術」の登場で「廃止」の可能性も
数を減らしつつある「通りゃんせ」や「故郷の空」などのメロディ式信号機ですが、代わりとなる「異種鳴き交わし方式」とは、どのようなものなのでしょうか。
異種鳴き交わし方式は、視覚障がいのある人をより安全に誘導するために、交差点の両岸で違う種類の音「ピヨ」と「ピヨピヨ」、「カッコー」「カカッコー」など、音の時間をずらして鳴らす方式です。
この方式のメリットについて、信号機メーカーの日本信号の担当者は、「視覚障がいを持つ人は聴覚が発達しているため、異種鳴き交わし方式の音の鳴り方と鳴るタイミングの違いから進行方向を把握でき、横断歩道を渡りやすくなります」と話します。
メロディ式信号機が少なくなった背景には、このような音響信号機の改良がなされた結果だともいえます。
しかし一方で、先出の担当者は音響信号機について「住宅密集地などで夜間などは、メロディ式であっても擬音式でも、『うるさい』といったクレームは変わらずあります」と話します。
メロディ式も擬音式も「音が鳴る信号機」であることに変わりはなく、装置が設置された交差点周辺に済む住民からすると、青になるたびに音がなることを気にする意見もあるようです。
このこともあり、音響信号機では夜間は音を鳴らすのをやめたり、必要なときだけ鳴るように押しボタン式にするなどの対策が取られています。
さらに近年では、音響信号機の代わりとなる技術も登場しています。
警察庁によれば、2020年度から歩行者信号の情報をBluetoothなどの通信によりスマートフォンと接続し、信号の状態を確認できる「高度化PICS」という技術の運用を開始。
日本信号は高度化PICSに対応した日本初のスマートフォンアプリ「信GO!」を提供開始しています。
このアプリでは、信号が青か赤かを判断することができるほか、押しボタン式信号では遠隔で操作できたり、青の時間を延長できる機能も備えています。
先出の日本信号の担当者は高度化PICSについて「今後は代替手段となるかもしれません」と話しています。
騒音問題が生じる音響信号機と比べて、さらに多様な機能を持つ高度化PICS技術が普及していけば、メロディ式や擬音式を問わず、音響信号機自体が消滅していく可能性もあるかもしれません。
※ ※ ※
なお、2003年以前に設置された音響信号機では、装置の更新がされていなければメロディ式が残っている可能性もあります。
2023年もまだ、「通りゃんせ」や「故郷の空」を聞きながら、横断歩道を渡れるかもしれません。
コメント
本コメント欄は、記事に対して個々人の意見や考えを述べたり、ユーザー同士での健全な意見交換を目的としております。マナーや法令・プライバシーに配慮をしコメントするようにお願いいたします。 なお、不適切な内容や表現であると判断した投稿は削除する場合がございます。