怪しいクルマ「天ぷらナンバー」の正体は? 日本代表料理が「偽物」表現として用いられる背景とは
なぜ「天ぷら」という? 日本を代表する食べ物が「偽物」表現に使われる背景とは
重大な違反行為である「天ぷらナンバー」の使用ですが、そもそもなぜ「天ぷら」などという言葉で呼ばれているのでしょうか。
ここでいう「天ぷら」とは、もちろん日本を代表する揚げ物のことを指しています。
同じ揚げ物でも、衣を付けずに揚げたものは「素揚げ」などと呼ばれるように、天ぷらにとって衣は欠かせないものであることはいうまでもありません。
衣こそが天ぷらを天ぷらたらしめている一方で、衣があることでその中身(種)が隠されているというように解釈することもできます。
また、衣を厚くすることで必要以上に大きく見せることができるというのも、天ぷらの大きな特徴です。

こうしたことから、「天ぷら」という言葉は「本来の姿を隠す」や「本来の姿よりもよく見せる」などといった意味を持つようになり、それが転じて「偽物」を指す言葉としても用いられるようになりました。
そういった意味での「天ぷら」が多く用いられるようになったのは、明治時代の頃だったと言われています。
当時は、メッキ加工を施すことで価値を高めようとしている製品のことを揶揄する意味合いで「天ぷら」という言葉が用いられていたようです。
また、その後1970年代の安保闘争の頃に、実際にはその大学の学生ではない人間が、その大学の制服を着ることで学生になりすまし、講義を受けるといったことを指して「天ぷら学生」と呼んでいたといいます。
日本で現在と同様のナンバープレート制度が確立されたのは、1964年のことです。
その後、モータリゼーションが進むにつれて、ナンバープレートというものがひろく一般に知られていくことになるわけですが、少なくともその頃には「偽物」という意味での「天ぷら」という表現があったことは間違いないようです。
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ちなみに、日本を代表する料理のひとつである天ぷらですが、実は1500年代頃にポルトガルから伝来したものだといわれています。
その後、1600年代中頃には「天ぷら」の文字が文献にも登場するようになり、江戸の街に住む庶民の食べ物として浸透していったようです。
しかし、大量の油の入手が困難であったり、調理に技術を要することなどから、全国的に食べられるようになったのは意外にも戦後になってからのことのようです。
Writer: Peacock Blue K.K.
東京・渋谷を拠点とするオンライン・ニュース・エージェンシー。インターネット・ユーザーの興味関心をひくライトな記事を中心に、独自の取材ネットワークを活用した新車スクープ記事、ビジネスコラム、海外現地取材記事など、年間約5000本のコンテンツを配信中。2017年創業。























