ついにトヨタが新型「クラウンセダン」を公開!? 「5m超えセダン」で人気復権?専門店展開の中国事情とは
クラウン専門店オープン? クラウン×セダンの人気は根強い?
中国では世界的なトレンドであるSUVはもちろんですが、依然として保守的な自動車のボディタイプである「セダン」が大きな人気を誇ります。
このような市場が形成されている中国において、しばらく姿を消していた「セダンのクラウン」への需要は大きかったに違いありません。
この需要を鑑みて、グローバルモデルのクラウンスポーツクロス、そしてセダン需要への回答であるクラウンセダンを中国では「新型クラウン」として展開することになったのでしょう。
また、新型クラウンは大きな特徴のひとつとして、中国での現地生産ではなく、輸入車として販売されるであろう点にも要注目です。
広州モーターショーで展示された両モデルには、今までクラウンを中国で生産してきた「一汽トヨタ」のエンブレムや、もう一方の合弁会社「広汽トヨタ」のエンブレムも見当たりません。
セダンモデルはまだコンセプトの段階なので理解できますが、販売を開始したクラウン スポーツクロスにも装着されていないということは、それは現地生産車ではなく、輸入車になるということを意味しています。
中国では輸入車に対して非常に高い「15%」の関税を課しており、自動車メーカーはよほどの高級モデルやハイパフォーマンスモデルでない限りは、販売価格の高騰を避けるために中国国内で生産をおこないます。
ちなみに、中国国内での生産は今まで中国メーカーとの合弁が必須となっていましたが、2018年に電気自動車、2020年に商用車、そして2022年に全車種を対象にそのルールは撤廃されました。
高い関税を課せられるにもかかわらず、トヨタがクラウンを輸入車とする思惑は明らかとなっていません。
ですが、ひとつ明らかなのは販売価格が高くなったとしても消費者はクラウンを買い求めるだろうと判断したことです。
セダン最後(14代目モデル)の現地生産モデルは25万800元(邦貨換算:約476万7600円)から37万4800元(約712万4879円)で販売されていました。
それに対し、新型クラウンスポーツクロスは2.5リッターハイブリッドが36万9000元(約701万5000円)、2.4リッターターボハイブリッドが42万9000元(約815万5200円)で販売されています。
物価や為替の変動、装備の違いなどもあって一概に比較はできませんが、それでも販売価格は上昇していることに変わりなく、価格から見ても立派な「輸入高級車」に位置づけられるでしょう。

トヨタは中国で「クラウン」ブランドをさらに加速させるため、「クラウン専門」のディーラーを中国全土にオープンさせていくことも発表しています。
それだけ中国ではクラウンが特別視されてきており、これからもされるということでしょう。
ボディタイプが増えたとしても、クラウンの本流はセダンタイプであることに変わりはありません。
セダン人気が未だ根強い中国において、新たにクロスオーバーセダンとなったクラウンスポーツクロス、そして2023年登場予定のクラウンセダンがどのように受け入れられるか、注目です。
Writer: 中国車研究家 加藤ヒロト
下関生まれ、横浜在住。2017年に初めて訪中した際に中国車の面白さに感動、情報を集めるうちに自ら発信するようになる。現在は慶應義塾大学環境情報学部にて学ぶかたわら、雑誌やウェブへの寄稿のみならず、同人誌「中国自動車ガイドブック」も年2回ほど頒布する。愛車は98年式トヨタ カレン、86年式トヨタ カリーナED、そして並行輸入の13年式MG6 GT。


































