なぜ「カートレイン」廃止された? 夜行列車で愛車と移動出来た「カーフェリーの鉄道版」 衰退の一途辿った理由とは

北海道新幹線に搭載の仰天計画も!? カートレイン復活への模索は今も続く

 ところで筆者(遠藤イヅル)は、1993年に広島から浜松町まで、カートレインを利用したことがあります。

 自分のクルマ(当時は、ルノー「サンク」に乗っていました)を貨車に載せるドキドキや、マイカーと一緒に鉄路を移動するワクワク、いにしえの名車20系寝台客車の、しかもプルマン式A寝台車に乗れた嬉しさは、今でもよく覚えています。夜行列車という旅情もありました。

カートレイン用に改造されたワキ10000形有蓋車。カートレイン北海道に使用されたワキ10000形は、「カートレインさっぽろ」「カートレインくしろ」運転に合わせ、1998年に連結面からクルマの積み下ろしが可能なシャッターを新設した。写真のワキ10157はシャッター設置後の姿(画像提供:モデルあい子。モデルアイコン公式。氏)
カートレイン用に改造されたワキ10000形有蓋車。カートレイン北海道に使用されたワキ10000形は、「カートレインさっぽろ」「カートレインくしろ」運転に合わせ、1998年に連結面からクルマの積み下ろしが可能なシャッターを新設した。写真のワキ10157はシャッター設置後の姿(画像提供:モデルあい子。モデルアイコン公式。氏)

 カートレインの欠点だった積み込み方法の煩雑さ、積載できるクルマの大きさ制限をなくし、通年で走らせられれば、再び旅行者から人気を得る列車になるのでは、と願うことしきりです。

 そのカートレインですが、復活への模索も続いています。

 2006年には、JR北海道が、自動車専用新幹線「カートレイン」の導入構想を発表しました。

 本州と北海道を結ぶ青函トンネルは、複線の線路上に線路幅や最高速度、車体の大きさが異なる北海道新幹線と在来線貨物列車が共用する問題があります。

 これを解決するため、新幹線の大きな車体にコンテナを積む貨物列車をまるまる積みこむ「トレイン・オン・トレイン」という大胆なプランが考えられました。

 そしてこの車両を応用し、道外からの観光需要に応えるべくカートレインを復活させよう、という案も出ているのです。

 このほか2017年になって、日本プロジェクト産業協議会が第二青函トンネルを新たに作り、鉄道用トンネルにカートレインを走らせようという壮大な計画を、国土交通省に提出しています。

 2022年現在、「トレイン・オン・トレイン」構想は技術・費用面の問題が多く、実用化はまだ先になりそうですが、カートレインの復活は期待したいところです。

【画像】夢過ぎる! 「ブルートレイン」と愛車の旅が楽しめた80年代から90年代当時の貴重な写真を見る(13枚)

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