歩行者との接触事故でキップ切られた! 自転車も対象となる「安全運転義務違反」って一体ナニ?

漫然とクルマを運転していて事故を起こすと、「安全運転義務違反」なる名目で切符を切られることがあります。安全運転義務違反とはどんな違反なのでしょうか。

注意力散漫な運転が取り締まりの対象に

 道路交通法第70条に「安全運転の義務」というものがあり、これを守らずに運転すると違反となります。

 そして「安全運転義務違反」ということで切符を切られる可能性があるのですが、この安全運転義務違反とはどのようなものなのでしょうか。

安全運転義務違反とは?
安全運転義務違反とは?

 道路交通法の第70条「安全運転の義務」を要約すると、「運転者はハンドルやブレーキなど適切な操作を行い、道路や交通状況に応じて、他人に危険が及ばない速度と方法で運転しなさい」ということです。

 安全運転義務違反には次の7項目があり、違反すると処罰の対象になる可能性があります。

●操作不適

 いわゆる運転操作ミス全般で、「ブレーキペダルの踏み間違い」や「ハンドル操作ミス」などが該当します。故意でなくても事故が起きれば処罰の対象になるようです。

●前方不注意

 これには「漫然運転」と「脇見運転」が含まれていますが、どちらも事故に直結する危険な違反行為。

 漫然運転は前方を見ているにもかかわらず、交通状況を把握せずに信号機の見逃しや歩行者の見落とし、速度超過なども含まれるようです。

 一方で脇見運転は、周囲の景色に気を取られたり、車内で探し物をする、また走行中にスマホやカーナビの操作などをしたりしていると違反になるケースもあります。

●動静不注意

 考え事などで漫然と運転しているのと違い、他車や歩行者の存在を認識しているのに勝手な判断で運転すると、その後の動静に注意を払わなかったとして違反に該当。

 たとえば交差点で右折するとき、対向車や歩行者が来ているのにもかかわらず先行して曲がって事故などが発生すると違反確定です。

●安全不確認

 一般的には「前方・後方・左右」の不確認による事故などが発生した場合に該当。右折時に左側の歩行者しか見ておらず、右側の歩行者を巻き込んでしまうなどのケースが不確認と認定されるようです。

●安全速度違反

 いわゆる制限速度を超えた「スピード違反」とは異なり、制限速度内であっても交差点や横断歩道、見通しの悪い箇所で徐行や減速を怠ったために事故を起こすと該当します。

 市街地での裏道や農道、信号のない交差点などで無理に突っ切ろうとする行為は確実に該当するでしょう。

●予測不適

 交通状況や相手(対向車や歩行者など)を含めた交通状況の判断が不十分な場合に該当します。

 対向車が避けるだろう、スピードも大して出ていないはず、車間距離はこれぐらいで十分など、いわゆる「だろう」運転が原因で事故を起こしてしまうとアウト。

「だろう」という主観的な判断が不適と判断されるということです。

※ ※ ※

 安全運転義務違反は、自動車やバイク(原付含む)だけでなく、最近では自転車による交通事故の多さから自転車も該当するようにもなってきています。

 ちなみに、警察庁交通局がまとめた「交通事故の発生状況」でも安全不確認や脇見運転などが上位を占め、交通事故の原因の上位を独占。

 安全運転義務違反に該当する原因が7割以上を占めるなど、慣れたベテランドライバーでも漫然と運転しているとかなり危険ということがわかります。

 なお、この安全運転義務違反が適用されるのは人身事故の場合です。

 後ろから軽くぶつかってしまい、人体に影響がない程度の接触事故は「物損事故」扱いとなり、行政処分上では事故扱いにはならないため違反点数も加算されることはありません。

 ただし、その場合は自賠責保険の適用外(自賠責保険は人身事故のみ適用)。相手への補償は加害者側の任意保険から補償することになります。

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