ハイエースに代表される「商用バン」なぜ車種が少ない? トヨタ・日産・ダイハツしか製造しない訳
商用バンの車種が少ないふたつの理由
実質的に商用バンの車種が少ない背景には、ふたつの事情があります。まずは小型/普通車を含めて、商用バンが薄利多売の商品であることが挙げられます。
荷物を積んで走り、走行距離も圧倒的に長いことから、販売店では「ハイエースの場合、30万kmから40万kmを走っている車両も珍しくない」といわれており、乗用車とは比較にならない耐久性が求められます。
その分だけ価格も少し高めではあるものの、メーカーや販売店が得られる利益は多くないのです。
そのために以前はマツダや三菱も小型/普通商用バンを自社開発して生産もおこなっていましたが、マツダはOEMを導入するようになり、三菱は取り扱いを終了しました。
小型/普通商用バンがハイエースとキャラバンの市場になったふたつ目の理由は、軽商用バンの商品力が向上したことです。
1998年におこなわれた軽自動車の規格変更で、ボディサイズが今の大きさになり、積載容量も拡大しました。
例えばハイゼットカーゴデラックスの荷室長は1915mm、荷室幅は1270mm、荷室高は1250mm、小型商用バンのグランマックスカーゴGLは、2045mm×1495mm×1305mmになります。
グランマックスカーゴのほうが広いのですが、荷室長にして130mmの違いなので、軽商用バンのハイゼットカーゴで十分と考えるユーザーも多いのです。
しかもビジネスで使う場合、ひとつの法人が複数の車両を所有することも珍しくありません。その場合、軽商用バンの安い維持費も大きなメリットになります。
1台だけの所有なら小型/普通商用バンでも経済的な負担は少ないですが、3台以上となると差額も開きます。倉庫のなかに駐車するようなときも、ボディの小さな軽商用バンは有利です。
ただし軽商用バンは、小型/普通商用バン以上に薄利多売の商品です。その結果、前述のようにOEM車が普及しました。
エブリイ+NV100クリッパー+スクラムバン+ミニキャブバンの4姉妹車を合計すると、2022年1月から8月までの1か月平均届け出台数が約8000台に達します。ハイゼットカーゴ+アトレー+サンバーバン+ピクシスバンも約8200台です。
軽自動車で販売2位のスズキ「スペーシア」が約7900台ですから、エブリイとハイゼットカーゴは、OEM車を含めた生産総数になると圧倒的な規模を誇っていることがわかります。
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小型/普通商用バンと軽商用バンは、薄利多売の厳しい世界ですから、車種の数も大幅に少ないのです。
表現を変えると、ユーザーにとっては非常に買い得な商品がそろっており、日本の物流をしっかりと支えています。
少数精鋭の必要不可欠な頼もしいクルマ達なのです。
Writer: 渡辺陽一郎
1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を得意とする。
スズキでは1980/S56年に小型/普通商用バンのファーゴを製造販売しましたが軽商用バンのエブリイと同様のスタイルが災いしてトヨタのハイエース/レジアスエースやニッサンのキャラバン/ホーミーや三菱のデリカカーゴやマツダのボンゴブローニイと比べて人気はジリ貧でしたので2000/H10年のフルモデルチェンジの際に日産の三代目E24型[1985/S61年-2005/H15年]キャラバン/ホーミーのOEMとして供給され2005/H15年には日産の五代目E25型キャラバン[2005/H15年ー2010/H20年またこの時姉妹車のホーミーは生産終了になりました]へのフルモデルチェンジの際に車名をコモに改めて2022/R4年にはOEM供給元をニッサンキャラバンからトヨタハイエースに改められましたのでスズキに小型/普通商用バンが購入出来ない訳ではありません。スズキではトヨタが製造する[コモ「ベースはハイエース」]を揃えて用意しています。