なぜクルマは「時速180キロ上限」から変わらない? 高速道は時速120キロに引き上げも… スピードリミッターに変化無い理由とは
ボルボはスピードリミッターの上限を引き下げ?
スピードの出しすぎの危険性については、世界的にも注目されており、例えば、スウェーデンのボルボ・カーズ(以下、ボルボ)では、2020年5月に、スピードリミッターの上限速度を、全モデル180km/hに引き下げることを発表しました。
欧州では、アウトバーンといった速度無制限の道路もあり、日本に比べてスピードリミッターの上限速度が200km/h以上と、高めに設定されているのが慣例となっています。
引き下げは異例の事態として話題となりましたが、その背景にはやはり交通安全の促進が関係しています。
ボルボは、ドライバーのより良い運転をサポートし、死亡事故や重傷事故をなくすことを目標として掲げており、その第一歩としてスピードリミッターの上限速度引き下げに踏み切ったとしています。
現在、クルマの安全性能は向上を続けていますが、一定以上の速度で事故が起きてしまった場合、そうした安全性能をもってしても、人命を確実に守ることは困難です。
そのため、重大事故を低減させるためには、根本的にスピードを抑制するといった対策が必要となります。
スピードリミッターの搭載はあくまでもメーカーの自主規制となっているため、ボルボの上限速度引き下げについても、一部のユーザーからは疑問視する声が見られました。
しかし、ボルボは「たとえ一部の顧客を失うとしても、最終的に人命を救うためには自動車メーカーの権利と義務をめぐる議論の先駆者であり続けるべきだと考えている」として、事故のリスク低減について強い姿勢を示しています。

このように、海外メーカーがスピードリミッターの上限速度を引き下げている現状を考慮すると、なおのこと国産車のスピードリミッターの速度が引き上げられる可能性は皆無であることがわかります。
さらに、ボルボは「Care Key」という機能も搭載しており、クルマの所有者が、周囲の人にクルマを貸す際などに、さらに低い上限速度を設定できるようにしています。
ボルボは、今後も安全のためにこうした機能の搭載を進めていくことを明らかにし、スピードの出しすぎに加え、酒酔い運転や注意力散漫などについても対策を講じていくとしています。
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スピードリミッターの上限を引き上げることで、万が一、スピードを超過したクルマがいた際に、重大事故のリスクが高まってしまいます。
あえて重大事故を増加させるような方向性にクルマが変化していくことは今後もありません。
Writer: Peacock Blue K.K.
東京・渋谷を拠点とするオンライン・ニュース・エージェンシー。インターネット・ユーザーの興味関心をひくライトな記事を中心に、独自の取材ネットワークを活用した新車スクープ記事、ビジネスコラム、海外現地取材記事など、年間約5000本のコンテンツを配信中。2017年創業。



















