実現するか「新五日市街道」 影も形もない多摩の“ナゾ東西軸”実は西武の駅前とムサビは完成済み?

東京都は、整備を推進する「多摩東西主要4路線」として、新青梅街道・東八道路・新奥多摩街道とともに「新五日市街道」を挙げています。この姿も形もない道路は何なのでしょうか。

「多摩東西主要4路線」の1本として整備を推進

 東京の多摩地域を東西に走る幹線道路はいくつかありますが、都の資料では、影も形もない「新五日市街道」という路線が「多摩東西主要4路線」の1つとして位置付けられています。この新五日市街道は、どのような路線なのでしょうか。

武蔵野美術大学を横切るように通る道は、将来、新五日市街道の一部になる((C)Google)
武蔵野美術大学を横切るように通る道は、将来、新五日市街道の一部になる((C)Google)

 東京都が2014年にとりまとめた「新たな多摩のビジョン行動戦略」は、多摩地域の目指すべき姿や方向性を示しています。

 この中ではたくさんの施策が掲げられていますが、道路については多摩地域の東西南北を結ぶ主要路線の整備推進も挙げられています。

 都が「多摩南北主要5路線」として示しているのは、次の道路です。

・八王子村山線(多摩大橋通り)
・立川東大和線(芋窪街道など)
・府中所沢・鎌倉街道線
・府中清瀬線(新小金井街道など)
・調布保谷線(武蔵境通り・鶴川街道など)

 一方で「多摩東西主要4路線」としては、次の道路を挙げています。

・新青梅街道
・新五日市街道
・東八道路
・新奥多摩街道

 さて、ここで挙がった9路線のうち8路線は地図にも載っており、一部未開通があるにせよ多摩地域の交通網を支えています。が、新五日市街道だけは見当たりません。この「謎の東西軸」は何なのでしょうか。

 新ではない「五日市街道」は江戸時代からの道筋を継承しつつ、現在(都道7号)は杉並区の新高円寺駅付近から、あきる野市の武蔵五日市駅付近までを結んでいます。

「新」五日市街道は、現在の五日市街道と概ね並行して計画されていますが、起点が異なります。

 少し西にずれた青梅街道(都道4号)の西武柳沢駅南交差点付近(西東京市)です。この辺りで青梅街道は6車線から4車線に絞られますが、車線が増減する地点から新五日市街道が分岐する計画となっています。

 青梅街道から分かれた新五日市街道はその後、小平市・立川市を西へ進みます。この区間は現在、住宅街や畑が広がっており、道路の姿はほぼありません。

 そして、立川市西砂町にある交差点で現・五日市街道と合流し、あとは武蔵五日市駅付近まで現道をなぞるルートとなります。

 新五日市街道は現在、一体的な整備が進んでおらず、一部分だけが開通していたり、わずかな区間の整備事業が着手されていたりします。

 すでに開通している区間は、主に3区間。1つ目は小平市の花小金井駅前で、わずか300mほどだけの立派な道路ができています。

 2つ目は同じく小平市内のムサビこと武蔵野美術大学です。大学のキャンパスを横切るようにおよそ500mの道路が通っています。

 3つ目は立川市にある都営立川松中アパート(団地)の南側です。松中団地通りとして約800mが開通しています。

 このようにわずかな断片が開通しているといえますが、新五日市街道という1本の道としてつながる日は来るのでしょうか。

 東京都と多摩地域28市町は、2016年に共同で「第四次事業化計画」として2016年度から2025年度までの10年間に優先的に整備する道路の路線・区間を定めました。

 新五日市街道に該当する路線の一部は「優先的な整備すべき路線」に選ばれており、今後も少しずつ整備が進んでいくと思われます。

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