運転者のなかには、クルマのなかにお気に入りのグッズを置いて、自分だけの空間をつくっている人も少なくないでしょう。
　
　そんななか、ダッシュボードにぬいぐるみやフィギュアなどを飾っている人も見られますが、こうした行為は違反に該当しないのでしょうか。

　ダッシュボードにぬいぐるみやフィギュア、ミニカーなどを飾っている人を見かけます。

　一見、和やかな印象を持ちますが、クルマを運転するうえでの視認性や操作性による問題が考えられます。

　首都圏の警察署交通課にの担当者は、ダッシュボードにぬいぐるみなどを置くことについて「ぬいぐるみを置いておくこと自体は法令違反となりません」として、以下のように説明を続けます。

「ぬいぐるみが置いてあったからといって、即座に取り締まりをすることは基本的にありません。
　
　しかし、それによって前が見えないような状態になっていた場合は、クルマの運転に支障が出るものとして注意したり、安全運転義務違反として取り締まったりする可能性もあります」

　道路交通法第70条には「安全運転の義務」として、以下のような内容が定められています。

「車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない」

　さらに、同項の内容は「操作不適」「前方不注意」「動静不注視」「安全不確認」「安全速度違反」「予測不適」「その他」の7つに分類され、今回のケースでは、「その他」に該当するものと予想されます。

　また、ダッシュボードにぬいぐるみを置く行為は、安全運転義務違反以外にも、道路交通法第55条第2項の「乗車又は積載の方法」に該当する可能性もあります。同項では以下のような内容が定められています。

「車両の運転者は、運転者の視野若しくはハンドルその他の装置の操作を妨げ、後写鏡の効用を失わせ、車両の安定を害し、又は外部から当該車両の方向指示器、車両の番号標、制動灯、尾灯若しくは後部反射器を確認することができないこととなるような乗車をさせ、又は積載をして車両を運転してはならない」

　つまり、ぬいぐるみの置き方によって、運転者の視界が狭くなったり、ハンドルなどが操作しにくくなったり、バックミラーやサイドミラーが確認できなくなったりすると、法令違反にあたる可能性が出てくるということです。

　また飾ってあったものが足元に落ちてしまった場合にペダル類に挟まることで運転に支障を来す恐れも考えられます。

　このようなことからも、ダッシュボードなどに物を置く際には十分に注意することが望ましいです。

　また、ダッシュボードやメーターフードに物を置いておくとエアバッグ作動時に良からぬ危険が及ぶ可能性も考えられます。

　この点について、JAFホームページでは以下のように注意を呼びかけています。

「運転席と助手席のエアバッグはステアリングやダッシュボードの内部に格納され、表皮を破って展開します。

　そのため、ダッシュボード上に物を置いたり、カーナビゲーションのモニターなどが装着されていたりすると、エアバッグが展開した際にそれらが放出され乗員に危険が及ぶことも考えられます」

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　これらをふまえると、ダッシュボードなどにはできる限り物を置かないほうが望ましいのかもしれません。