なぜ日本の「販売終了セダン」が中国で人気? 日産「シルフィ」は年間50万台販売! 日中で異なる販売戦略とは
中国ならではの併売戦略! 新旧併売は常套手段だった?
ですが、これは何も日産がズルをしているというわけではありません。
中国ではほかの自動車メーカーでも一般的に見られる販売手法です。
各自動車メーカーは売れ筋車種を最新モデルだけでなく、旧モデルも「クラシックモデル」と名付けて販売する傾向にあります。
ランキングでは10位にフォルクスワーゲン「ボーラ(中国名:宝来)」がランクインしていますが、このクルマも先代モデルや純電動モデルを併売しています。
シルフィにおいては、最新モデルが11万9000元(邦貨換算:約237万4000円)で販売されているのに対し、併売されている先代モデルが9万9800元(約199万1000円)からとなっており、多種多様な消費者に向けてさまざまなオプションが用意されています。
また、2021年11月にはB18型シルフィをベースにした中国市場初のe-POWERモデル「シルフィ e-POWER(中国名:軒逸 電駆版)」も登場したことから、ますますシルフィの勢いは加速していくことでしょう。

そんな日産 シルフィですが、2021年は2年連続でランキング1位であったものの、2020年に比べて約4万2000台販売台数が下落してしまいました。
それに加え、超格安EVとして日本でも話題となった上汽通用五菱「宏光MINI EV」が1位に迫る勢いの42万6484台を販売したこともあり、うかうかしていられる状況ではないのかもしれません。
中国の自動車市場は日々進化中、瞬く間に変化を迎える面白い市場でもあります。
このような急速な変化のなかでシルフィがどのように生き残っていくのかは、新たに投入されたシルフィのe-POWERモデルが命運を握っているのかもしれません。
Writer: 中国車研究家 加藤ヒロト
下関生まれ、横浜在住。2017年に初めて訪中した際に中国車の面白さに感動、情報を集めるうちに自ら発信するようになる。現在は慶應義塾大学環境情報学部にて学ぶかたわら、雑誌やウェブへの寄稿のみならず、同人誌「中国自動車ガイドブック」も年2回ほど頒布する。愛車は98年式トヨタ カレン、86年式トヨタ カリーナED、そして並行輸入の13年式MG6 GT。





























