なぜ日産「シルビアS15」の盗難被害増えてる? 今年だけで5台も! 行く先は「アメリカ」が濃厚と言える理由とは
なぜシルビアS15がアメリカで人気なのか? その理由はいかに
3月31日にくるまのニュースで「国産旧車、約400台が「破壊」の危機に?」の記事を書きましたが、このなかにS15はなんと30台もありました。
アメリカで人気の理由として挙げられるのは、第一にスカイラインGT-R(R32/R33/R34)と同様に、S15は北米仕様車が作られず、左ハンドルモデルが存在しなかったことにあるでしょう。
同じシルビアでもS13やS14は240SXという名称で、北米仕様車が生産され人気を博しました。
しかし、S15の北米での販売はナシ。つまり、日本でしか販売されなかった「希少性」が高い価値を生んでいると考えられます。
さらに、S15のスポーティでアグレッシブなデザイン、そして最高出力250馬力を発生する「spec.R(6MT)」の存在も日本車好きのアメリカ人にとってさらに魅力的に感じることでしょう。
盗難が急増しているS15シルビアはどのような経緯をたどってアメリカに持ち込まれるのでしょうか。
それは主に以下のふたつの方法が考えられます。
1.25年を迎えるまで、日本国内または近隣の国(カナダは製造から15年で輸入解禁)で保管する。
2.エンジンを含む部品としての輸入であれば製造から21年を経過していれば可能なのでバラバラにしてコンテナに積んでアメリカへ輸入する。
もちろん、日本国内でパーツとしてネットオークションなどに出品される可能性もあります。
盗まれた80スープラが数時間以内に解体され、盗難2日後にはオークションに出品されていた例もありました。
車台番号やエンジン番号などが分からないようにするのはもちろん、オーナーが特定できるような情報(オドメーターの数字など)も改ざんするため、残念ながら今の制度ではオーナーが「自分のクルマに間違いない」とオークション主催会社に申し出ても、警察が捜査を始めるまでには大変な時間と労力がかかります。手元に戻ってくる可能性も著しく低いのが現状です。
前述2.の「21年ルール」について説明しておきます。
こちらはEPA(米国環境保護庁=Environmental Protection Agency)が関わるルールで、中古車の世界においては一般的に「排ガス基準」を意味します。
製造から21年が経過したクルマは、EPA基準が撤廃されるため、完成車としてはまだ25年ルールまで時間がある場合でも、21年を過ぎていればエンジンを含むパーツの輸入が可能になります。
S15の場合、21年ルール適用となったのが2020年。以降はパーツとして(とくにエンジン)アメリカに持ち込むことが合法的に可能となりました。
S15の需要が高まっている背景には「21年ルール」の存在も関わっていると考えられます。
アメリカでは、エンジンスワップが日本よりはるかに盛んにおこなわれています。警察官もマニアックなクルマ好きが多く、エンジンに関わる知識も豊富です。
不正なエンジンスワップはすぐに発覚し、対応しないでいると3回目くらいの警告でクルマが没収され破壊される恐ろしい罰則が適用される恐れもあります。
製造から20年近くが経過した日本製スポーツカー、とくにアメリカでは販売されていなかった車種やアメリカ仕様には積まれていないエンジンが搭載されている旧車を持つオーナーの方は盗難に十分注意してください。
この先、2度と生産されることはない価値ある旧車を大切に守ってあげてください。
Writer: 加藤久美子
山口県生まれ。学生時代は某トヨタディーラーで納車引取のバイトに明け暮れ運転技術と洗車技術を磨く。日刊自動車新聞社に入社後は自動車年鑑、輸入車ガイドブックなどの編集に携わる。その後フリーランスへ。公認チャイルドシート指導員として、車と子供の安全に関する啓発活動も行う。
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