たった350円で乗れる高速バス!? トイレ付き&都区内完結! 臨海部へ“小旅行”できるニッチ路線の目的と特徴

東京駅から東京港へ、高速バス用の車両を使ったバス路線が存在します。運賃は350円、所要時間は35分。ジェイアールバス関東が開設したこの路線の目的と特徴とは。

東京駅~ビッグサイト~東京港FT間を1日13往復

 高速バス車両で東京駅を出発して、向かう先は東京港。所要時間は片道わずか35分、運賃は350円。

 ジェイアールバス関東が、そんな一風変わった路線を運行しています。

東京駅~東京港FT間の路線で使われている高速バス車両のイメージ(画像:ジェイアールバス関東)
東京駅~東京港FT間の路線で使われている高速バス車両のイメージ(画像:ジェイアールバス関東)

 運行区間は、東京駅~東京港フェリーターミナル(東京港FT)です。途中、りんかい線の国際展示場駅や、東京ビッグサイトにも停車します。東京駅からの運賃は、いずれも交通系ICカード(Suica・PASMOなど)で350円、現金で400円です。

 本数は1日13往復(日中概ね1時間ごと)で、東京駅から東京ビッグサイトまで約30分、東京港まで約35分で走ります。座席は先着順による座席定員制(自由席)です。

 さて、ここまでの情報だけだと、街なかを走る路線バスとそう大きく変わりません。

 実際、東京港までは行きませんが、東京駅~東京ビッグサイト間では都営バスが「都05-2」や「東16」系統を以前から運行しています。

 いわば競合路線となるこれら都営バス2系統は、本数は日中だと毎時8~9本、運賃は210円(IC・現金同額)、所要時間は約45分です。比べると、都営バスは所要時間がやや長いものの、本数と運賃は分があるといえるでしょう。

 しかしジェイアールバス関東は、車両が違います。

 路線バス用ではなく、高速バス用を使用。1列2+2席が並ぶ全40~44席のハイデッカー車(床を高くして客席から眺望を良くした車両)です。

 車内はリクライニングシート、トイレ、Wi-Fiを備え、車両によっては100VやUSBの電源も利用できます。

 また、特筆すべき点として行き先も挙げられます。

 東京港FTを発着する定期運行のバスは現在、このJRバス関東の路線のみです。

 このFTは国際展示場駅から徒歩30分の距離にあり、フェリーを使う人がバスの乗客にもなりそうですが、現在、東京港FTを発着する旅客船は、徳島・北九州とを結ぶオーシャン東九フェリーだけです。

 船は基本的に1日1便で、出発は夜、到着は早朝。そのため日中は閑散としています。

 なぜ、このような東京港FTを路線の起終点に設定したのでしょうか。ジェイアールバス関東の担当者は、次のように説明します。

「東京駅と(オリンピック・パラリンピック開催などで開発の進んだ)有明エリアへのアクセスと速達性を高めるため、そして東京港FTへのアクセスを創出し、フェリーや港湾関係の方にご利用いただくためです」

 東京ビッグサイトでは、路線開設後の2021年12月末に、同人誌即売会「コミックマーケット99」が開催され、2日間で約11万人(主催者発表)が参加しました。

 前出の担当者は、このときにもある程度、バス路線が認知されたといいます。

「先着順ですが、座席定員制のため必ず座れます。また、車両下部にはトランクルームもあるため、手回り品の大きいフェリー利用者や、たくさん買い物をされたビッグサイト帰りの方にも快適に利用いただけると思います」

 都心部から少し距離のある東京ビッグサイトや東京港FTへ、高速バスの車両で座って移動できるという選択肢を知っておくのも良いかもしれません。

【画像】東京駅~ビッグサイト~東京港FT線の時刻表と運賃

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