東京・大阪間の高速SA「うどん出汁」の境界線はどこ?「関東風」「関西風」だけじゃない「名古屋飯」の存在も!?
うどんの出汁は地域ごとに特色があり、とくに鰹節ベースの関東風と昆布ベースの関西風という違いがあります。東京から大阪へ向かう高速道路のSA/PAで、関東風から関西風へ出汁が切り替わる境界線はどこにあるのでしょうか。
「関東風」「関西風」の境界線は関ケ原! でも周辺に高速SAがない!?
食文化はその土地ならではの特色があらわれやすく、なかでも出汁と醤油はかなり大きな違いがあります。
醤油は関東や東北では濃口、関西では薄口、九州では甘口といったように、味はもちろん、料理の見た目にも大きく影響しますし、出汁も関東が鰹節ベースなのに対し、関西では昆布ベースが基本とされています。
そして、その両方を用いた「うどん」は、関東 vs 関西の激論の題材としてよく登場します。
とくに関西圏の人にとって関東のうどんの汁は、「醤油ごっつ強すぎて濃いわ!」と毛嫌いする人も多いようです。
そこで、東京と大阪を結ぶ東名高速や名阪高速といった高速道路にありSA/PAで、うどんの出汁が「関東風」から「関西風」に切り替わる、「出汁の境界線」がどこにあるのか調査してみました。
まず、高速道路のNEXCO中日本やNEXCO西日本のSA/PAの運営会社に問い合わせてみたところ、「出店者様の自由なので、こちらでは一切関与しておりません」との回答でした。
そこで一旦SA/PAから離れて、場所として出汁の境界線を調査したところ、インターネットで行き着いたのが、産経新聞に掲載された「日清の『どん兵衛』が東西で味が違う理由」という記事。
日清の看板商品のひとつである「どん兵衛」は、鰹節メインの出汁と濃口醤油を使った関東風のつゆは「E(EAST)」、昆布出汁と薄口醤油の関西風つゆは「W(WEST)」とパッケージに表記してあるといいます。
日誌食品ホールディングスが約1年をかけて調査した結果、関東風と関西風の出汁の境界線としてたどり着いたのが岐阜県と滋賀県の間にある、天下分け目の決戦場として名高い、岐阜県不破郡関ケ原町。
徳川家康率いる東軍と石田三成率いる西軍が激しい戦闘を繰り広げた歴史的にも有名な土地です。
実際に関ケ原には、関東風と関西風の2種類のつゆから好みを選択できるようにしているうどん屋さんもあるのだとか。
しかし、「出汁の境界線は岐阜の関ケ原!」というわけにはいかないのが難しいところ。実は東京・大阪の高速道路上には関ケ原周辺にSAがなく、あるのはPAのみ。しかもそのPAではうどんではなくラーメンが名物だといいます。
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東京・大阪の中間にある名古屋周辺で、出汁について再調査してみました。
そこで判明したのが「名古屋めし」(名古屋を中心とした独自の食文化や名物料理)の強さです。
東京・大阪間には、関東風と関西風だけではなく、中京地域ならではの出汁があるようなのです。それは「むろ節」と「さば節」です。
まろやかでさっぱりしたムロアジから作られた節と、脂分が多く旨味たっぷりの濃厚さが特徴のさば節を出汁のベースとして、独自の出汁を形成しています。
これをベースにたまり醤油など濃口を組み合わせる「赤つゆ」や、白醤油を組み合わせた「白つゆ」などを生み出し、名古屋の麺料理として有名な「きしめん」のつゆは作られています。
しかも、このきしめんの人気が高く、関東から関西に向かう途中ではまず名古屋の出汁を通過しないと関西風に辿り着けないようなのです。
名阪高速なんてありませんが。