「邪魔モノにしないで!」 大型トラックが高速道路でゆっくり走行 「なぜ速度出せない?」 実情はいかに
時々右車線にも?トラックが追い越し車線をゆっくりと走行するのはなぜ?
一方で、高速道路では、大型トラックが追い越し車線を走行し、後続車が詰まっている様子が見られることもあります。
前述したように、法令では追い越し車線を走行し続けることはできず、さらにトラックの場合、特定の種類の車両の通行区分の標識が出ている区間は、左側の車線しか走行できないことになっています。
このような規制があるなかで、高速道路の追い越し車線を使ってゆっくりと追い越しをするケースがあるのはなぜでしょうか。
まず、高速道路での走行について、U氏は以下のように説明します。
「トラックドライバーは一定の速度での走行を心がけていますが、意外とこの『一定の速度で走る』というのが難しいのです。
こちらが法定速度で巡行していても、速度が安定していない一般車両に少しずつ追いついてしまうといった状況が発生してしまいます。
もし前方車両に近づきすぎて、そのタイミングで不慮の事態が起こった時、急ブレーキを踏むようなことがあれば積荷が崩れるなどの損害が出てしまいます。
ですので、安全に一定の速度を保つため、右車線に出て追い越しをするのですが、その際に上限速度の関係から、どうしても後続車が詰まってしまうタイミングがあります」
ちなみに、大型トラックはその車体重量から、一度スピードが落ちてしまうと、速度を上げるまでには時間がかかってしまうのが実情です。
アクセルを全開にしても、リミッターで速度が制限されているうえに、速度を上げるのに時間がかかってしまうのであれば、追い越しに時間がかかってしまうのも仕方がないといえます。

なお、このように大型トラックが追い越し車線を利用している場合には、トラックで2車線が塞がれてしまうという事態も発生することがあります。
そうした状況について、U氏は「あれも一定速度を保つために追い越ししています」として、以下のようにその実情を話します。
「同じ制限速度、同じスピードリミッターであっても、車種や積載している荷物によって車両重量が違うので、そこから加速する性能やトップスピードに差が出てしまい、どうしてもゆっくりな追い越しになってしまいます」
※ ※ ※
U氏が話すように、トラックドライバーは常に安全運転を心がけており、決してほかの車両の迷惑になりたいわけではありません。
デジタルタコメーターで安全運転を監視され、制限速度も80km/hという制約の多いなか、できるだけ早く、そして安全かつ効率的に荷物を届けるために走行しているのです。
トラックが高速道路でもし右側に車線に出て追い抜きしようとしていたら、車間を詰めてせかすのではなく、車間をあけ、余裕をもった運転でトラックの追い越しを待つことが高速道路全体の安全運転に繋がるといえます。
Writer: Peacock Blue K.K.
東京・渋谷を拠点とするオンライン・ニュース・エージェンシー。インターネット・ユーザーの興味関心をひくライトな記事を中心に、独自の取材ネットワークを活用した新車スクープ記事、ビジネスコラム、海外現地取材記事など、年間約5000本のコンテンツを配信中。2017年創業。














