今の車じゃ絶対にありえない!? ボディバリエーションが豊富だった昭和の大衆車3選

現在、新車で販売されているクルマでは、ボディラインナップは1車種で1タイプ、もしくは2タイプというのが一般的です。一方、昭和の時代では、1車種につきもっと多くのボディタイプが展開されていました。そこで、ボディバリエーションが豊富だった昭和の大衆車を、3車種ピックアップして紹介します。

豊富なボディバリエーションを誇っていた昭和のクルマを振り返る

 日本で販売されている現行モデルのクルマでは、1車種でボディタイプはひとつというモデルが大半で、2タイプ、3タイプのモデルがわずかに存在する程度です。

豊富なボディバリエーションを展開していた昭和の大衆車たち
豊富なボディバリエーションを展開していた昭和の大衆車たち

 国産メーカーでは、そもそも車種もだいぶ整理されている状況で、ボディタイプも生産や販売の合理化を考えれば、売れるボディタイプに注力して少なくするのは理にかなっているといえるでしょう。

 一方、昭和の時代のクルマでは1車種につき数多くのボディタイプを設定していました。

 開発部門や生産部門はかなり大変だったと想像できますが、さまざまなニーズに応えるボディバリエーションをそろえているのが常識でした。

 そこで、豊富なボディバリエーションを展開していた昭和の大衆車を、3車種ピックアップして紹介します。

●トヨタ3代目「カローラ」

ボディバリエーションが充実し国内外で大ヒットした3代目「カローラ」

 トヨタは1966年に、来たるべきマイカー時代を見据えた大衆車として、初代「カローラ」を発売しました。

 駆動方式は当時のスタンダードといえるFRで、エンジンは60馬力(グロス、以下同様)と余裕ある出力の1.1リッター直列4気筒OHVを搭載。

 発売当初は2ドアセダンのみでしたが、後に顧客のニーズに応えるように4ドアセダン、3ドアバン、2ドアクーペが加わりました。

 そして、代を重ねるとさらにボディバリエーションが増え、1974年に登場した3代目では2ドアと4ドアセダン、2ドアハードトップ、2ドアと4ドアバンのラインナップでスタート。

 さらに1976年にはロングルーフのハッチバックモデルである3ドアリフトバックと2ドアノッチバックのファストバッククーペが加わり、最終的には合計7タイプのボディが設定されました。

 この7タイプのボディにエンジンや装備の異なるグレードが分かれていたので、カタログの制作だけでも容易ではなかったと想像にやさしいでしょう。

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●ホンダ初代「シビック」

次世代型のFFベーシックカーとして誕生した初代「シビック」

 ホンダは1972年に、それまでのラインナップとは大きく異なる次世代型FFベーシックカーの初代「シビック」を発売。

 現在の軽自動車並のコンパクトなボディながらFFを採用した恩恵で広い室内空間を確保。さらに軽量なボディによる走りの良さと低燃費を両立し、大ヒットを記録しました。

 エンジンは当初、最高出力60馬力の1.2リッター直列4気筒SOHCエンジンを搭載し、1973年12月には排出ガス浄化技術「CVCC」を採用した1.5リッター車を追加。

 このCVCCエンジン搭載車は、クリア不可能といわれたアメリカの排出ガス規制「マスキー法」の規制値を世界で初めてパスすることに成功し、クリーンかつ優れた経済性からアメリカでのヒットにつながりました。

 ボディは独立したトランクの2ドアのみでスタートし、発売から1か月後には3ドアハッチバックを追加、1973年にCVCCエンジン車とともに4ドアが登場。さらに1974年にロングホイールベース化した5ドアバン、そして1977年には5ドアハッチバックが登場してフルラインナップ化が完了しました。

 時間の経過とともに1枚ずつドアが増えていったことになりますが、今では考えられない改良でした。

 そして、1979年に2代目にフルモデルチェンジすると、ノッチバックが廃止され4ドアセダンが加わり、代を重ねるごとにボディバリエーションは整理され減っていきました。

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●日産「チェリー F-II」

どのボディタイプもスタイリッシュで個性的なデザインだった「チェリーF-II」

 日産は1966年に初代「サニー」を発売し、前出のカローラと大衆車市場をけん引しました。

 また、同時期には欧州で小型車のFF化が始まっており、日産はいち早くFFコンパクトカーの開発に着手。そして1970年に、FRのサニーよりもさらに小型で同社初のFF車として「チェリー」を発売しました。

 チェリーはFFのメリットを生かして、ワンクラス上の「ブルーバード」と同等の広さを誇る室内空間を実現し、FRのサニーとともに日産のエントリーモデルとして人気を集めました。

 しかし、チェリーはFF車独特のドライブフィールが色濃く、オフセットしたペダルレイアウトによるドライビングポジションもFR車ユーザーが違和感を覚えるなど、まだ発展途上にありました。

 そこで1974年に、ドライブフィールやドライビングポジションを改善した2代目の「チェリーF-II」が登場。ボディサイズも拡大され、さらに居住性の向上も図られました。

 エンジンは1.2リッターと1.4リッターの直列4気筒OHV「A型」を搭載し、エンジンの下にトランスミッションを配置する2階建て構造を初代から継承していました。

 ボディは2ドアと4ドアセダン、若者にターゲットを絞った3ドアハッチバッククーペ、そして3ドアバンを展開。

 クーペはリアウインドウがボディサイドにまで回り込んだラップラウンドを採用し、個性的なデザインでしたが、さらに個性的だったのがバンで、2ドアのロングルーフとユニークな形状のリアピラー、傾斜したリアハッチが相まって、まるでシューティングブレークのようなスタイリッシュなボディでした。

 その後、1978年にチェリーF-IIは生産を終了。後継車である初代「パルサー」にバトンタッチしました。

※ ※ ※

 今回、紹介したモデル以外でも、かつてトヨタ「クラウン」は2ドアクーペやバン、ステーションワゴン、2代目ではピックアップトラックまでラインナップしていました。

 とくにバンは数多くのモデルに設定され、個人商店などの配送用に使われたほか、休日にはファミリーカーとして活躍するなど、まさにニーズをキャッチアップしたかたちでした。

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1件のコメント

  1. 確かに昔のクルマはボディバリエーションが多かった。低グレードによくあった2ドアセダンって、いったいどんな購買層にむけた仕様だったんだろうか。

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