首都高「値上げ」の真相!? 35.7kmまで基本は「値上げ無し!」 今春からの新料金は複雑? 「現金車」はどうなるのか
なぜ、首都高は値上げをおこなうのか? 4/1以降「現金車」はどうなる?
首都高速はなぜ、35.7km以上が対象となる「上限料金だけ」を値上げするのでしょうか。
首都高速の公式サイトには以下のように書かれています。
「現在、料金距離35.7km超のご利用については上限料金(普通車1320円)を設定していることから、ご利用が長距離になるほど1kmあたりの料金が割安になるため、都心部通過の際に首都高速道路が選択され、都心部に渋滞が発生しています。
そこで、都心部の通過交通をこれまで以上に抑制する必要があることを踏まえ、より公平な料金体系の更なる前進に向けて、新たな上限料金を設定します」
要するに首都高速は35.7km以上の距離に上限料金が設定されているため、それ以上はいくら走っても料金が変わりません。
東名高速の東京IC-厚木ICや東北道の川口JCT-加須IC、首都高は大都市近郊区間料金として1km当たり29.52円と設定されていますが、東名高速などには上限料金の設定がないため距離に応じて料金が加算されます。
上限料金が設定されている首都高は周囲を通る高速道路に比べると料金が安すぎるため、上限料金の適用を35.7km→55kmに延長し料金体系を東名高速などに合わせて値上げする、ということになります。
上限料金を引き上げ、東名高速などの料金体系に合わせることでとくに、「C2(中央環状線)」よりも内側の都心部路線に渋滞を発生させないことを大きな狙いとしています。
ちなみに首都高の最長ルートは「さいたま見沼(さいたま市緑区)~並木(横浜市)」の86.6kmですが、この距離を東名高速などで採用されている「高速自動車国道大都市近郊区間」の計算式に当てはめると、86.6km×29.52円(普通車1kmあたり)+利用1回に対する固定額150円+消費税=2980円という金額になります。
そして、首都高の値上げと同時期に始まるのが首都高料金所の「ETC専用化」です。
2022年3月に5か所、4月に29か所、合計34か所の料金所で一般レーンが廃止され、ETC専用になることが発表されています。
ETC専用化を進める理由のひとつに、「空いている時間帯や割引など、柔軟な料金設定が容易になり、混雑を緩和してお客様の生産性向上を図る」ということがあります。
首都高ではさらに2025年度までに約9割となる160か所、2030年度頃までには全料金所をETC専用にすることを発表しています。
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ところで4月1日からの料金変更で現金車はどうなるのでしょうか。
従来からETC利用無しの現金車は距離別料金の対象外であるため、池尻や初台、阪東橋などの一部料金所で設定される「基本料金以外の区間」を除いては距離に関係なく基本料金(=上限料金)が適用されてきました。
4月1日以降の値上げ対象となるため、普通車の場合は10kmでも80kmでも上限料金1950円となり、さらに深夜割引も対象外です。
なお、車載器なしのETCカード手渡しで支払った場合やクレジットカードでの支払いもすべて「現金車」として扱われるため注意が必要です。
Writer: 加藤久美子
山口県生まれ。学生時代は某トヨタディーラーで納車引取のバイトに明け暮れ運転技術と洗車技術を磨く。日刊自動車新聞社に入社後は自動車年鑑、輸入車ガイドブックなどの編集に携わる。その後フリーランスへ。公認チャイルドシート指導員として、車と子供の安全に関する啓発活動も行う。
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