クルマは「軽い」が正義! 現行モデルの軽量車3選
車両重量が軽いクルマは「走る・曲がる・止まる」のすべての要素に良い影響があり、さらに省燃費にも貢献します。そこで、現行の国産メーカーのクルマのなかから軽量なモデルを、3車種ピックアップして紹介します。
現行モデルの軽量なクルマを振り返る
速く走ることを追求したクルマでは、高出力なエンジンの搭載や優れた足まわりとブレーキを備えていますが、車両重量の軽減も重要です。
車両重量が軽いクルマは「走る・曲がる・止まる」のすべての要素に良い影響があり、さらに燃費性能も向上。また、日本の税制では重量税も安くなるなど、いいことずくめといえるでしょう。
昭和の時代のクルマは各種装備が簡素であったり、シャシの補強も今ほど熱心におこなわれていなかったことから、軽量なモデルがたくさんありました。
一方、現代のクルマは快適装備や安全装備が充実し、ボディも衝突安全性を考慮して強固なキャビンとなっているなど、車両重量の増加は避けられなくなりました。
しかし、現行モデルのなかでも軽量なクルマは存在します。そこで、国産メーカーのクルマのなかから軽量なモデルを、3車種ピックアップして紹介します。
●マツダ「ロードスター 990S」
マツダは1989年に、ユーノス「ロードスター」を発売。コンパクトボディのFRオープン2シーター車で、ベースグレードで940kgという軽量な車体を実現し、優れた走りから大ヒットを記録しました。
その後、2015年に現行モデルの4代目が登場すると初代ロードスターの軽量な車体へと原点回帰して、廉価モデルの「S」グレードでは990kgの車重を達成。
そして2021年12月16日には、このSグレードをベースに各部のチューニングをおこなった特別仕様車の「990S」がデビューしました。
990Sという車名は990kgの車重に由来し、Sグレードと変わりませんが、RAYS製鍛造16インチアルミホイールの採用によって1本あたり約800gの軽量化を図り、バネ下重量を低減。
また、フロントブレーキはブレンボ製大径ベンチレーテッドディスク&ブレンボ製対向4ピストンキャリパー、リアブレーキは大径ブレーキローター&キャリパーが装着されています。
さらに、ショックアブソーバー、コイルスプリング、電動パワーステアリング、エンジン制御も軽量な990S専用セッティングとされ、走りの質もグレードアップしました。
加えて、全グレードに新たな車両姿勢安定化技術の「KINEMATIC POSTURE CONTROL(キネマティック・ポスチャー・コントロール:KPC)」を採用。
ロードスターのリアサスペンションは、ブレーキをかけることで車体を引き下げる「アンチリフト力」が発生する構造で、KPCではこのサスペンションの特性を最大限に活かし、横Gが強めにかかるようなコーナリングの際にリアの内輪側のブレーキをわずかに作動させることで、ロールを軽減しながら車体を引き下げて旋回姿勢をより安定させることが可能になりました。
コーナリング時のドライブフィールは助手席でも体感できるほど向上しているといい、ロードスターの原点である「人馬一体」の走りをさらに高めています。
●スズキ「スイフトスポーツ」
国内メーカーのなかでも軽量化技術に定評があるスズキは、その技術によって「スイフトスポーツ」という生粋のホットハッチが誕生しました。
現行モデルは2017年に登場した4代目で、ボディはスタンダードなスイフトからトレッドを30mm拡大、フェンダーを20mm拡幅(全幅で40mm)したことで、シリーズ初の3ナンバーボディとなりました。
シャシは新プラットフォーム「HEARTECT(ハーテクト)」を採用し、内装部品に至るまで素材を吟味した結果、3代目から70kgもの大幅な軽量化を実現。車重はわずか970kg(MT車)を達成しました。
搭載されるエンジンは最高出力140馬力を誇る1.4リッター直列4気筒ターボで、トランスミッションは6速ATと、クロスレシオの6速MTを設定しています。
サスペンションはフロントがストラット、リアがトーションビームと、コンパクトカーでは定番の形式ですが、モンロー製ダンパーを搭載し、軽量な車体と相まって優れたコーナリング性能を発揮します。
スイフトスポーツは実用性も高く、それでいて日常のドライブでも高度なドライビングプレジャーが味わえる稀有なモデルといえるでしょう。
●三菱「ミラージュ」
三菱は1978年に、同社初のFF車となった初代「ミラージュ」を発売。広い室内空間と欧州テイストのスタイリッシュな外観デザインでヒットを記録します。
さらに、1982年には他メーカーに先駆けて、同クラス初のターボエンジンを搭載した「ミラージュIIターボ」が登場するなど、エポックメイキングなモデルでした。
その後、ミラージュは三菱のエントリーカーの主力車種として代を重ねましたが、2000年に5代目をもって販売を終了しました。
しかし2012年、タイで生産され新興国向けのエントリーカーというコンセプトの6代目が登場し、復活を遂げました。
発売当初、6代目は100万円を切る価格が話題となりましたが、販売台数が徐々に低下したことから、2020年4月にビッグマイナーチェンジがおこなわれました。
三菱のデザインコンセプトである「ダイナミックシールド」を採用してフロントフェイスを一新し、さらに衝突被害軽減ブレーキに代表される安全運転支援システムもアップデートされたことで、エントリーカーとしての魅力を向上。
エンジンは最高出力78馬力の1.2リッター直列3気筒を搭載。決してパワフルではありませんが、車重はわずか900kgと軽量で、日常の使用では十分なパワーです。
また、燃費性能もWLTCモードで20km/Lを達成するなど、純粋なガソリン車のなかでも良好な値を達成しています。
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冒頭にあるとおり車両重量が軽いと数多くのメリットがありますが、近年は装備の充実に加えてハイブリッド車も広く普及していることから、大胆な軽量化は難しくなっています。
さらに、今後はEVも増えると予想されますが、現行モデルのホンダ「ホンダe」が1510kg(ベースグレード)、日産「リーフ」が1490kg(Sグレード)と、ボディサイズの割にヘビー級といわざるを得ません。
全固体電池に代表される次世代のバッテリーが開発されれば軽量化も可能かもしれませんが、それはもう少し先のことになりそうです。
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